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治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

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Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に関する啓発活動をしていますが、今回は治験参加への「損得」に関わる話をしました。果たしてどっちが得なのか。あなたやあなたの大切な人が治験に出会う前に、一度考えておきませんか?

【第1回 Medical Warriors Lightning!】
No.4 長谷山貴博(臨床研究コーディネーター)「治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方」


4番目は僕が喋らせていただきます。よろしくお願いします。

僕は臨床研究コーディネーターっていう肩書で仕事しているんですが、普段は治験というもののコーディネート業務をしてます。

治験っていう言葉を聞いたことある方いらっしゃいますか?

…お! 結構手挙がってくれて、ありがとうございます。たぶん僕の宣伝が実を結んでるのかと思います(笑)。

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今日は、治験自体を掘り下げると時間かかっちゃうので、簡単に説明するだけにします。新しい薬を売り出すために必要な、有効性と安全性を確かめる、人を対象とした試験のことを言います。

今日は皆さんを患者さんと見立てて、皆さんが治験に出会った時、「治験に入りませんか?」と言われた時に、どんな考え方したらいいのかというのを、少し考えて頂ければと思います。


出会いは突然訪れる

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治験というものは、自分から探そうとしない限り突然出会います。

病気に罹って病院に行って、「注射薬にする? それとも飲み薬にする?」という相談をされた後に、「実は治験っていうのをやってて、今ならまだ発売されてない新しい薬を試すことができるけど…どうする?」みたいな。こんな出会い方するんですよね。

まぁ聞くと、なんか怪しいなと思うかもしれないんですけど。ちゃんとした試験という目的で、条件が整った一部の病院が実施できるんです。

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「あーラッキー!」と、「まだ使えない薬を先に使えちゃうんだー。やってみようかなー」っていう感覚でいないで欲しいんですよね。

その時に担当のお医者さんや、僕みたいなコーディネーターが説明しますんで、その時にデメリットとメリットを天秤にかけて考えて欲しいんです。

治験っていうのは「治療」じゃないんですよね。正確には「試験」なので。それに伴った普通の治療とは違うことがいっぱいあります。

今日はその辺を、メリットとデメリットに分けてご紹介したいと思います。ではいきます。


治験に参加するメリット

まず良いとこ。治験の良いとこ。

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まず、新しい薬を試すことができます。

治験薬というものは大体、まだ出回ってないものなので普通には買えません。そういったものをいち早く試すことができます。

治療法がない病気の人には、メリットが大きいと思います。

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血圧測ったりとか、採血検査とは良くあることだと思うんですけど、治験に入るともっと色んな検査をします。心電図とか、CTとか。レントゲンはやったことあると思いますけど…そういう検査が増えたりします。

普通の診療では必要ない検査も、試験の目的として受けることができます。これは逆に言うと、負担に感じる人にはデメリットになってしまいますが。

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あとお金の負担が減ります。治験薬(新薬)というものは、基本的にお金がかからないんです。試験の目的なので。

あとは一部の薬代がかからなかったり、検査の費用がかからない期間があったりとかで、トータルでかかるお金は減ると思います。ただし、ゼロにはなりません。

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逆にお金もらえます。これはバイト代ではありません。これからデメリットの話するんですけど負担も大きいんですよね。そういう負担を軽減するという意味で、交通費の意味合いも兼ねて。

特殊なことがない限り、大体全国どこでも一律、病院に来るたびに7000円。あと病院に入退院する度に7000円もらえます。

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あと、新しい治療の開発に貢献できる。

僕は、患者さんじゃなくてチームの一員、一緒に薬を創る仲間ぐらいに思ってるので。「この薬は俺が創った!」ぐらいに胸張ってよいと思います。そのぐらい貴重なことなので、患者さんの気持ちってのは。同じチームで頑張ったと言えると。

新しい治療法が待ち望まれている病気とか、全然薬がない病気もあるので、そういった病気の方には意義が大きいじゃないかと思います。僕はその病気になったとこはないので、なんだか勝手なんですけど。


治験に参加するデメリット

今度はデメリットについて喋ります。治験の悪いところ。

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まずは、未知の副作用によるリスク。新しい薬なのでまだ売られていません。だから大勢の人がまだ使ってなくて、わからないこともあるんです。

わからないことをわかるように解き明かすための試験でもあるんですが、そこはどうしても積み重ねが必要で。その時にわかってなかったことが、薬を使ったことで起きるかもしれないです。

例えば、肝臓を直そうとして薬飲んだら、肺が悪くなっちゃたということもあるかもしれません。

色んなことが想定されるので、基本的には24時間の窓口を設けて、僕みたいなコーディネーターが付いて、すぐに連絡を拾って速やかに治療ができるような体制でやってます。

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あと検査の種類はもちろん、検査の回数や来院の回数も増えます。

いっぱい採血されるのは皆さん嫌だと思うんでけど、僕の経験だと毎週採血管が10本という試験がありました。すごい量なんですけど、それも試験の目的のひとつなんですね。普段は測らないような検査項目まで調べたりします。

そこまで調べてもらえるというのは、逆に考えればメリットですね。ただ、体にかかる負担は大きくなるんじゃないかと思います。

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あと治験っていうのは、スケジュールがもう決まってます。

普通の治療は「次いつにする?」と、お医者さんと相談して決めると思うんですけど、治験に入ったらもう2週毎とか決まってるんですよね。

例えば「2週毎水曜日に来る」と決まったらその通りに来なきゃいけないです。「都合が悪い時は、前後2日までは大丈夫」 というルールがあったりして、その範囲を越えてはずらすことはできない。なかなか自由がきかないです。

なので、お仕事されてる方はですね、この通りに病院行けるかって考えなきゃいけないですね。そこで行けなかったら残念ながら、こちらからお断りすることになると思います。

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あと日常生活にも縛りが出てきますね。例えば、具合悪くなったらすぐに電話してねとかお願いします。

僕の担当している患者さんの中には、すごく遠くから来ているも人いますけど、風邪引いたら近くの病院にかかると思んですが、そういう時はすぐ連絡下さいとお願いしてます。

あとここにはないですけど、日記書いてねとか。あと今日歯医者さんいらっしゃいますけど、歯医者にかかる時は連絡ちょうだいねとか。

病院にかかる時は基本的に連絡欲しいんですけど、「歯医者だから大丈夫だと思った」とか、「鍼は大丈夫だと思った」とかあるんです。

そういうの僕たちは全部拾わなきゃいけなくてですね。体の中に何が投与されたとか、こういうことが起きたかとか把握しなきゃいけなくて、ご連絡をお願いすることが多いです。

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あとこれ最後ですけど、必ずしも新薬を使えるとは限らないというのがあります。

これ薬が2つ並んでますけど、全く見分けつかないと思うんですよね。プラセボって聞いたことある人いらっしゃいますか?…半分くらいですね。

ニセモノですね。新しい薬の有効成分が入ってない、見た目では全く区別がつかないもの、「偽薬」って呼んだりしますけど、要はダミーです。

こういうの使われることはよくあります。「二重盲検比較試験」といって、病院も患者さんもどっちを飲んでるかわからない状態で、製薬会社の人たちだけ誰がどっち飲んでるか分かる状態で試験をします。

明らかに新薬の方が効いてるといったらば、心による影響はなく、明らかに有効成分が効いてるってとこが言えるんですね。

心が与える影響、プラセボ効果(有効成分のない薬を投与して、良い効果が表れること)とかノセボ効果(有効成分のない薬を投与して、悪い効果が表れること)とかって言ったりしますけど、そこはまだわからないことが多くて。ただそういうのがデータに混ざっちゃうと、本当に有効成分が効いてるのかってわかんないんですよね。

実際にそのプラセボを使って試験をしてみて、実は効果がなかったと取り消されたこともあります。なので、うんと大事。

こういうデザインの試験では一定の確率で、何も治療されてなかったという状態に陥ります。本当は新薬を飲みたかったのに、実は飲めていないという状態ですね。

それでも患者さんの権利として、試験の途中でもやめたくなったらやめてもいいんです。あとは危なくならないように、ここまで状態が悪くなったら治験から外れるという基準があったりもします。


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ということで今日は色々喋りましたけども、これはあくまでも一般的なことです。

高額な治験のアルバイトとして有名な「第1相試験」というものがあるんですけど、それは除外しています。皆さんが病院にかかった時に出会うかもしれない治験のことをイメージして喋りました。

本当に色んなデザイン、期間も短い長い、薬が3種類2種類、色んな試験があります。

お医者さんと治験コーディネーターの話をよく聞いて、可能ならばおうちに持って帰って大切な方と相談して、本当に入るかどうかを決めていただければなと思います。

ということで僕の発表を終わらせて頂きたいと思います。ありがとうございました。

編集:長谷山貴博

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