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全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

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「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほとんどの方は、1枚1枚の質の高さに驚いてしまうのではないでしょうか?表紙のインパクトの強さから始まり、「医療・ヘルスケア」という難しい題材にも関わらずわかりやすいビジュアルを用いている雑誌。

これを創っているのはなんと、全国展開する調剤薬局であるアイセイ薬局。出版社などではなく1薬局なのです。「ヘルス・グラフィックマガジン」は、年4回の季刊誌として毎号15万部発刊しているフリーマガジン。5年前にリニューアル創刊され、最新号は18号になります。

前からどんな人が作っているんだろう?と気になっていた「ヘルス・グラフィックマガジン」。ちょうど今日、東小金井にて『ヘルス・グラフィックマガジン』展とトークショーが行われると聞きつけ、足を運んできましたので早速レポートします。

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※『ゲスト』(左から)
■岩崎朋幸さん(株式会社アイセイ薬局 コーポレート・コミュニケーション部 部長/『ヘルス・グラフィックマガジン』 編集長)
ヘルス・グラフィックマガジンの前身であるフリーペーパーから、リニューアルする時に編集長に。元テレビCMディレクター等を経てアイセイ薬局へ。広報やマーケティングなどを担当。
■堂々穣さん(DODO DESIGN 代表/アートディレクター/グラフィックを担当)
1974年生まれ。東京工芸大学芸術学部デザイン学科卒業。BRIDGEを経て2012年、DODO DESIGN設立。ポートフォリオブログ
■北島直子さん(ミーツパブリッシング 代表/編集者/医療ライティングを担当)
1982年生まれ。東邦大学理学部生物分子科学科卒。2005年、医療系専門出版社に入社。2011年退社後、ミーツパブリッシングを設立。
■小田さん(株式会社アイセイ薬局 広報)
司会を担当。

ヘルス・グラフィックマガジンとは

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『ヘルス・グラフィックマガジン』 は、毎号ひとつの症状にフォーカスし、医師や各分野の専門家が症状や改善方法をさまざまな角度から楽しいビジュアルで解説する季刊フリーペーパー。編集の岩崎さんは、なぜ発刊することになったのか振り返り、薬キャリに取り上げられた文章がしっくり来ると引用されました。

昨今、医薬品に関する情報が世に溢れ、自身の健康に関する消費者の意識が高まっている。 一方、大量の情報から真に有用なものを選ぶ難しさは増し、反動として過度に単純化された非科学的な言説が、日々お茶の間をわかしている。こうした状況で、薬局がオウンドメディアを活用して「正しい」情報を顧客に届ける。その重要性が高まっているのだ。
そして「正しい」情報を伝える際、どのように伝えるべきかという「How」 の問題も重要だろう。専門性の高い医療情報を、ユーモアを交えた親しみやすい表現で伝えるアイセイ薬局の『ヘルス・グラフィックマガジン』には、「How」において多くのヒントがあるはずだ。
※薬キャリ「薬局がメディアを持つ意味とは?」

テレビで、「バナナが良い」「納豆がいい」と放送されるとスーパーからは特定の商品だけ無くなる。これでいいのだろうか?だが調剤薬局は、病気の患者さんが来てくれるからお金を稼いでいるのも事実。どうにかして均等にできないだろうか。

調剤薬局がオウンドメディアとして、差別化したフリーマガジンを作る事で、ブランディング戦略と共に患者さんに喜んでもらえる。医療の分かりづらいを、デザインの力で分かりやすく伝えよう。そう思いスタートしたそうです。

当初は社内からも反対の嵐、その中で見つけたチーム

創刊から5年が経ち、多数のメディアにも取り上げられるようになった『ヘルス・グラフィックマガジン』。しかし、始めた頃は現場の薬剤師さんから「こんなに配れないよ」「やめたらどうか?」と反対の声も多かったそうです。

でも患者さんには届かなければ意味がない。そこで「となりの薬剤師さん」という取材のコラムをスタート。そうすると、取材をした人を中心に積極的に配るように。やっぱり取材をされると嬉しいですもんね。最終的な目的のために、スタッフ側へのコミュニケーションをとって巻き込んでいく。その重要性がわかります。

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何号が続けていく中、岩崎さんのアツい熱に付いていけなくなり、チームの解散も何度か重なり。一般の会社へコンペ形式で人材募集をすることに。通常のフリーマガジンより多くの熱を入れないと作れないクオリティー。それを担保するためにトークショーのゲスト3人が最終的なチームとなりました。

では、どれくらいの熱量で作成されているのでしょうか?

180日前から編集会議を開始

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季刊誌として発刊している『ヘルス・グラフィックマガジン』は、前の号が終わったら次の号の編集をスタートしていると思いきや。なんと、6ヶ月前から開始しているそう。2号を並行して編集しているということですね。

号のテーマ決めから、表紙を決めるのにも100枚以上のラフデザインを行い1枚を決める。24ページのそれぞれのテーマに分解し、取材や調査を行う。医療の雑誌であることから、ページには医学監修を設けて確認をしてもらう。毎回、印刷する前日までゴタゴタがあるようです(笑)

1枚1枚を「中吊り広告」として考える

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普通のフリーペーパーとして考えると、どうしても抜けてしまうページが出来てしまう。しかし、広告出身なので「1枚1枚を中吊り広告」だと思って熱を注いで作成する。そこが違うのかもしれません。そう語る堂々さんの表現に、『ヘルス・グラフィックマガジン』の質が高い理由があるような気がします。

確かに、1ページ1ページが中吊り広告であっても、通用するレベルだ!それだけ、見やすい。インパクトがあります。

良い表現を再生産する

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その中で意識していることの1つに「良い表現を再生産する」ということを挙げられていました。例えば、上の「頭痛持ち列伝」は、アメリカ合衆国建国から150年間の歴史に名を残す4人の大統領の胸像を彫った「ラシュモア山」をモチーフにしています。『NARUTO -ナルト-』の火影岩でも有名なので、『なんか見たことあるなぁ』と思いますよね。

その「ある程度認知していることを導入にする方が、伝わる度合いが強い」ということを取り入れているそうです。

高齢者にも好印象、年齢ではなく指向性で切る

でもこのような若者向けのビジュアルで、薬局に高齢者が読んでくれるのか?という疑問が浮かんできます。しかし、それは勝手に私たちが高齢者のイメージを作っているだけで、「ー20歳」と考えても良い。というくらい好印象だそうです。

薬局には、具合の悪い人が来る。読んでもらえないことが前提。ビジュアルファーストで、まず手に持ってもらうことが重要とのこと。確かにそうですよね。活字だけでは、例え退屈しのぎだったとしても、あまり手に取りたく有りません。

自分がまず知識を付けて、監修医を選ぶ

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トークの中で、ページ毎に監修医を付けることに関して北島さんより「医師の度量を見極めて取材先を決める。ちゃんとした先生かどうか等を判断するのも私の仕事」(度量は踏み込んだ内容のページにOKと言ってくれるか等)ということを言っておられました。この言葉に気になり、「どうやって見極めているのか?」という質問をしてみました。

すると、例として(頭痛の号の時に読んだ本を取り出して)、まず専門的な本などを読んで知識を付ける。色んな人の本を読んで、「違う事を言っているな」「書いている事に情熱が無いな」というのは、ある程度編集経験などからわかるそう。

あと、実は人相も大事。必ずページの隅に監修医の写真を載せます。例えば、泌尿器科についてページで「女性の医師」を載せた方が、実は女性の泌尿器科医もいるんだ!と「女性が泌尿器科へ行きやすいイメージ」を作れるかもしれない。と、様々なことを考えながら監修医選びにも力を入れているそうです。

『ヘルス・グラフィックマガジン』の今後の展開

5年目を迎えた『ヘルス・グラフィックマガジン』の今後についてお聞きしてみると、すでに最新号の「肥満症」でその施策があるそうです。それは、最終ページに広告と、記事内にも記事広告(ネイティブ広告)を導入し始めた事。

岩崎さんが自分の役割は、会社の事業成績に左右される事無く、いかに存続させられるか社内調整すること。というほど、企業のフリーマガジンは業績や定量評価を求められると最初に切られてしまいがちです。

そこで質を保ったまま継続性を担保するため、広告の提供を開始。今までのスタイルを崩さないまま記事広告も導入していくことにしたそうです。

最後に

この雑誌スゴい!!ということで取り上げられがちな『ヘルス・グラフィックマガジン』。しかし、実際に作成されている方々の話を聞いて、その裏には血の滲むような努力と、熱量を感じました。

トークショーの中では、「Pinterestでオファー」「水木しげるさんへ直談判」「時期的にない桃を探し出せ」など、各ページの製作秘話が盛りだくさんだったのですが、長くなるのでこれまでに。

ダウンロードもできるので、是非1度ご覧になってはいかがでしょうか?

アイセイ薬局『ヘルス・グラフィックマガジン』
「ヘルス・グラフィックマガジン」 ネイティブ・アド運用を開始 2015 夏「肥満症」号より広告メディア化へ

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