*

”ゆるふわ”もいいけどガチもいいよ。リリムジカ代表、管さんと考える「ガチコミュニティー」のつくり方。グッドネイバーズカンパニー「いいご近所づくり会議vol.4」

公開日: :

あなたにとっての「いいご近所」はどんなカタチをしていますか。もしかしたら、ご近所のことを数年以上考えた事が無い方もいらっしゃるかもしれません。

近年、高齢化する日本の地域医療の中で、地域包括ケアという考え方が盛んに叫ばれています。しかし、地域包括ケアの重要な要素のひとつにご近所づきあいや、生活者一人一人のQOLがあるのでは?そんな考えから生まれたのが一般社団法人グッドネイバーズカンパニーが主催する「いいご近所づくり会議」です。

「いいご近所」といっても、いろんなカタチがありますが、私たちグッドネイバーズカンパニーの考える「いいご近所」とは、”楽しい!”とか、”何か気になる!”とか、ポジティブな気持ちで多様な人がつながっている空間のこと。

今日のようなイベントでも、そんな空間を生み出すことができたら、生活者課題の解決にもつながる「いいご近所」が実現するはず。

代表を勤める清水愛子さんは、こんな想いでイベントをスタートさせたそうです。

イベント終了後に集合写真。何と遠くの方は静岡県から!?
イベント終了後に集合写真。何と遠くの方は静岡県から!?

毎回、様々な「ご近所」をフィールドに活動しているゲスト呼んで開催されている「いいご近所づくり会議」。4回目になる今回は、「介護現場×音楽」をテーマに「いいご近所」について考えてきました。

グッドネイバーズカンパニーの取り組みの目的は、心身共に健康で明るく豊かな地域社会の実現にむけて、専門性や活動の枠、年齢や地域を超えて個人が集い、具体的なアクションに導いていくこと。
イベントに集まった人々は、表情豊かでこれからのイベントを楽しみにさせてくれる高揚感がありました。

音楽療法ではなく、ミュージックファシリテーション

今回、講演してくださるのは、リリムジカの管さん。タイトルは、「リリムジカ流『いいご近所』の作り方~”ゆるふわ”もいいけどガチもいいよ~」。株式会社リリムジカでは、介護施設を訪問し、45分間の音楽プログラムを実施するミュージックファシリテーション事業を行っています。

株式会社リリムジカ管偉辰さん
株式会社リリムジカ管偉辰さん

参加者からは、「あれ?音楽療法やセラピーの話ではないの?」という疑問の声もあがりました。

イベント概要を見ていた時は、共同代表の柴田さんが音楽療法士であることから、音楽療法の事業をしていると思っていたのですが、どうやら違うようです。

社名は、イタリア語のリリカメンテ(叙情的に)とムジカ(音楽)を組み合わせた造語。「心に響く音楽」という意味です。

音楽療法から始まった会社だけど、そもそも「セラピー=治る」ってどういうことか分からなかった。凄く考えました。行き着いた先は、僕たちの提供する音楽では「治らない!」ということ。でも、なぜか施設の方に評価された。それって、セラピー(療法)ではなく、「場づくり」をしていたからなんじゃないか。だから、ミュージックファシリテーターという言葉を使うようになりました。

なるほど、敢えてミュージックファシリテーションをしていると言っていた意図がスッと入ってきました。この「場づくり」という点が、他にも同じような事業を展開している会社との差別化になっているのかもしれません。

パブリックコモンスペース「okatte にしおぎ」
イベント会場は、パブリックコモンスペース「okatte にしおぎ」

自然体でフラットにプロ意識を持って臨む

それでは、どのような意識を持って事業を展開させているのでしょうか。介護施設に音楽をする人が行くと、(一方的に)演奏をしたり教えにいくイメージが強いですが、そうではないようです。

音楽を教えるひとは先生っぽくなってしまう人もいるんです。そうではなくて自然体でいること。最初に聞く言葉は、「今日は何の曲から歌いましょうか?」。用意してきたプログラムではなく、一緒に作っていく事を大切にしています。

ここは介護施設、一緒に場を作るためには欠かせないことがもう1つあります。

もう1つ大切なことはプロ意識。例えば、高齢者の方にとっては、通常の楽譜通りに伴走するとキーが高すぎて歌えないんです。なので、キーを低くする。年を取ると声も低くなるし、呼吸もゆっくりになる。だからテンポもゆっくりに。

でも、楽しく歌いたいですよね。そこで弾むリズムも入れたり、歌い出しを工夫することで、お年寄りも歌いやすいオリジナル曲を作っています。(実際には、曲を聴かせて頂きました。)

4枚目-compressor

ボランティアではなくプロとして行く。その言葉と具体的な事例を聞いて、なぜリリムジカが、介護施設に受け入れられているのか。だんだんと分かってきました。

音楽はあくまでも手段であり、その先の目的を達成することが必要。月に1回の関わりでどんな影響を与えられることが出来るのか、本気で取り組む姿勢が印象的です。

社会的な課題を扱う企業としてのKPIと、その作り方

参加者には、自身でプロジェクトをされている方もおり、社会的な課題を扱う企業としてのKPI(key performance indicator、重要業績評価指標)が話題にあがりました。管さんは、リリムジカのKPIについてこう語ります。

「死ぬ前にお年寄りが幸せだったかどうか」ですね。その手段として行う、音楽プログラムの目標は、「スペシャルな時間にすること」「日常を変えること」の2つを置いています。

ただ、これだけでは定性的で指標として扱いづらいので、企業としてのKPIは、現在は暫定的に「施設数」を置いています。でも、それでは日本全国では広がらないという課題もあるんですよね。介護施設は全国で6万〜7万件あり、でも年間で300とかしか行けていない。これってどうなんろう?と、KPIを改めて考えなくてはと思っています。皆さんからもアイデアを待ってます!

5枚目-compressor

「どのようにしてKPIを決めたのか?」ワークショップなどみんなで一緒に話し合うことが多い私たちには意外な答えが返ってきました。

KPIは一人で悩み抜いて創る方がよいです。最近はみんなで集まって何かを決めるような雰囲気が流行だし、みんなで考えて創ることも多いと思うんですけど、合議では創らない。1人で悩んで「これ!」としました。

みんなで決めると、決めた事に対して誰が責任を取るのか曖昧になりがちです。誰が辞めても1人でやるぞ!という気持ちを持っている人が必要。他の人よりも考え抜いてようやく人に説明出来るようになると思います。

スペシャルな時間にするためには、ミュージックファシリテーターは自然体でプロ意識を持って臨む。そして、音楽プログラムの時間だけでなく、日常を変えることで最終的には死ぬ前に幸せにだったと思って欲しい。

今までのお話が1つに繋がったように感じました。ここまでに至るためには1人で悩み抜いて他の人の1000倍行動する。管さんの覚悟と行動力が、言葉に熱を持たせていたのではないかと思います。

ワークショップで感想共有と質問

後半のワークショップでは、グループに分かれて管さんの講演を聞いた感想や、生まれた疑問などを少人数に分かれて深めました。

非常に盛り上がる中、特徴的な質問が2つほどあったので紹介します。

3〜4人に分かれて講演の感想や疑問を共有

音楽は振動や波動、だからみんなが繋がっていくし、心地よい

Q: 何で音楽なんでしょうか?ダンスでもなく、演劇でもなく、音楽。

音楽の振動が大事なのだと思います。最近、誘い歌いをマスターしたんです!同じペースで揺れていると、だんだん共振が起きて、一定値を超えると、口から溢れる。やってみましょう。(清水さんの肩を叩いて歌いだすと、自然に口から歌が!)

参加者からは、子どもの頃から子守唄や音楽の授業などで、親しんでいるからでは?身体が水で出来ているから全身で振動するのでは?との声も。

7枚目-compressor

音楽家達の仕事づくり、仲間意識や質の担保

Q:音楽家達の質の担保はどうするのか?

入るまでの採用と、入ったあとの継続の2つあります。入るまでは、今まで言って来た世界観やプロ意識を持つ事ができるか。

入ったあとは、いくつかあるのですが。1つは、同行した時に動画を取り「良かったよ」と言いながらフィードバックする。そうすると、嬉しくなって映像を振り返るんですよ。でも、自分で見ると反省点がよく分かる。そして勝手に反省し、改善してくれるんです。

2つ目は、連絡網方式というのを取っています。小学校の頃にやっていたあれです。毎月1回スタッフ同士で電話をすることを決めていて。連絡網的に繋いでいきます。コミュニケーションにもなるし、振り返りにもなる。惰性にならないよう、3ヶ月ごとにシャッフルしたり、かける側の人にお金を払っています。

連絡網方式には、参加者からも納得の声が。昔を思い出すと、前後の人のことを意識していたこと。受動的に電話を受けるだけではなく、必ずかけることも行う事でスタッフ同士にも良い繫がりが生まれてくるのかなと思いました。

休憩時間には、参加者のお裾分けで様々なお菓子がならぶ
休憩時間には、参加者のお裾分けで様々なお菓子がならぶ

ガチのコミュニティー ≒ いいご近所?

株式会社リリムジカの管さんを迎えてお送りした「いいご近所づくり会議vol.4」。ワークショップ後も、参加者同士で話が終わらず盛況ぶりが伺えました。

管さんが、リリムジカの世界観の中で「”ゆるふわ”ではなく、ガチのコミュニティーを作っている」と語っているのが印象的でした。1人で信念を作り、プロ意識を持った人を集め、継続性をお金と人の面で担保していく。それが、ガチのコミュニティーを作るということなのではないかと感じました。これは、もしかしたら「いいご近所」を作る上でもヒントになるかもしれません。

次回の「いいご近所づくり会議vol.5」は、6月27日に「ロボットは地域のケアを変える?」というテーマでゲストを招いて行います。是非、これからのコミュニティーのあり方を考えてみませんか?」イベントページは、こちらから。

主催:一般社団法人グッドネイバーズカンパニー
ゲスト:株式会社リリムジカ

『関連記事』
糖尿病をハックする「第3回ヘルスケアハッカソン 東京」レポート

アトピー患者の知恵を共有する「untickle」 野村千代さんインタビュー

関連記事

Save_the_Baby_-_YouTube

世界の母子を救いたい!日本の母子手帳と震災の経験から生まれた「Save the Baby」の挑戦

日本の歴史から生まれた「母子の健康記録」を世界の公共財として電子化するプロジェクトが行なわれ

記事を読む

maxresdefault

医療者も踊る!?AKB48恋するフォーチュンクッキー動画まとめ

「あ、友達映ってる!!」 恋するフォーチュンクッキーとは、AKB48シングルの選挙結果を元に選ばれ

記事を読む

6f68bb2c78d0899276ac527f7f7d5565_m

歯学生より。まずはご挨拶。

みなさん、こんにちは。   私はこのたび、ライター登録させていただきました昭和大学歯学部4年の金

記事を読む

book4l

医学生が読書に没頭するきっかけとなったおすすめの本

先日、M-Laboライターの二宮さん、森さんが「読書をする理由」についてまとめていましたが、僕も本に

記事を読む

MOTHER_BOOK_-_YouTube

妊娠の記録を本の厚みで表現する「Mother Book」

posted by 藤巻 慎 to GIFMAGAZINE   1人の子供に1回の

記事を読む

ドクターヘリ

エクストリーム系難病女子医学生が入院した

ドクターヘリ[/caption] お山の上の七階で 初めまして。大分大学医学部4年の谷岡紀

記事を読む

Otvorena_knjiga

医療小説を読んでみよう!おすすめの3冊

今回は医療に関連した小説を3冊紹介しようと思います。医療や病院、医師を舞台にしたライトな小説というよ

記事を読む

国会議事堂

日本の医療制度やその成り立ちについて学びたい方におすすめの3冊

医療系の大学で医療を学んだ方ですら、日本の医療制度について十分学んだという人は少ないのではないでしょ

記事を読む

DSC00899

糖尿病をハックする「第3回ヘルスケアハッカソン 東京」レポート

医療現場の課題をITの力で解決する事はできるのか? 2014年11月8日〜9日に目黒のHUB T

記事を読む

WS000050

春休みに海外行くならこれを見よ!世界一周経験者が作るメディアが凄い!

世界一周後に起業し、日本と世界を繋げるメディアを立ち上げる。そんな動きがこの1週間で爆発している!

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑