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患者視点から描く 新しい医療のしくみ

公開日: : 最終更新日:2015/01/12

 夢は新しい医療のしくみの構築

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M-Laboで記事を書かせて頂くことになった慶應義塾大学の福井と申します。
現在、湘南藤沢キャンパス、通称SFCで「人の健康」をテーマに勉強しています。ゼミは渡辺賢治先生という漢方医の先生の元で漢方というツールを通して未病社会を治すことを目指して日々活動しています。

医学部でも看護学部でもない私ですが将来の夢は人の健康を支えるしくみをつくることです。何故私がこの道を希望するか、僭越ながら述べさせて頂きます。

転勤ばかりの状況で現れ始めた症状

小学校6年生の時父の仕事の関係でアメリカと日本を行き来していた私と私の家族は愛知県に転居しました。既に3度目の引っ越しでした。

編入した地元の小学校とそれまでのアメリカの小学校との文化の違いに衝撃を受けたのを覚えています。
思春期の私には話す言葉も、ノリも、環境も違う学校はまさに「異物」のように受け入れがたく、そんな日が続いたある時身体にも異変が現れ、アトピー性皮膚炎になりました。

正確には赤ちゃんの頃から持っていたアトピーが今まで気にならなかったのにも関わらず、ストレスが引き金となって顔はゴーヤのようにぶつぶつになり、身体はかさかさに。赤みがひどい顔を見て、自分自身を「怪物だ」と思ったのを覚えています。

皮膚科に行くと、渡されたのはステロイド外用剤(以下「ステロイド剤」)でした。塗ってみれば、湿疹が数日間でみるみるうちに消えていく。

「魔法の薬だ!」  そう思いました。

「軽いアトピー患者」だった私はもうステロイド剤は使わないで平気だろうと思いました。またその頃ステロイド剤を長く服用し続けた場合の副作用についてインターネットで書かれているのを見つけ、「早くやめたい」と思い主治医の先生に相談もせずにステロイド剤を急に控え始めました。

すると途端に今までにないくらいに悪化し始めたのです。今までステロイド剤で抑えられていた湿疹は「待ってました!」と言わんばかりにすぐに戻り、それまでにない範囲で乾燥や赤み、痒みが広がってしまいました。

※訂正(2015/1/12):長期間のステロイド「内服薬」を急に止めた時に出現する離脱症状である「リバウンド」と、ステロイド「外用薬」中断による悪化症状を混同する表現をしてしまいました。ステロイド外用剤中断による悪化症状は個人の一例であり、必ずしも起こるわけではありません。

思春期の頃は友達とお喋りしたり、勉強や部活に励んだり、恋をしたりするのが良い思い出となります。しかし、真っ赤な顔で人と顔を合わせるのが嫌な私はアトピーというわけの分からない病気に振り回されて、悲しみでいっぱいでした。

「顔、赤くない??」

「保湿剤とかちゃんと塗ってるの?」

「うつる」

などの友達の言葉で内気な自分はさらに殻に閉じこもり笑顔が作れなくなりました。

ステロイド剤が根本的な治療ではないと気付いた私はそれを止めましたが、次にどのような治療を選択したら良いかわかりませんでした。中学生になってからも私は毎朝「学校に行きたくない」と泣いていました。

周りの子がニキビ一つで悩んでいる時に、何故自分が全身湿疹で覆われなければならないのかと不公平さを感じました。

漢方薬膳サロンとの出会い

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母はある日、私を全国から患者さんが来る埼玉にある漢方薬膳サロンに連れて行ってくれました。漢方医学の先生の診断を受、「症状の改善に1年から2年かかるかも知れない」と言われました。

1年から2年…短いな、と思いました。表面的に症状が治まることに意味がないことを実感していた私はその期間が短くさえ思えたのです。

先生から頂いた漢方薬を煎じたものを一日2回飲むことになり、先生からは「ちょっと身体に効くお茶を飲むような感覚」だという風に言われたのですが、体質改善に向けて少しでも進みたい気持ちがあった私はわくわくしました。だいぶ辛抱強い中学生になっていたのだと思います。

それからは漢方サロンの先生に頂いた本を読み、東洋医学や西洋医学的アプローチ以外の治療法をインターネットや本で探しました。思えばそんなに一つのことについて一所懸命に勉強することはこれまでの人生ではありませんでした。

私の青春の一部を奪ったアトピーに負けていられない。悲しんでばかりじゃいられない。とにかく希望を見つけようと必死でした。そして母に続き祖母がまた新たな治療法を紹介してくれました。

酵素風呂というさらなる希望

祖母は私と同じくアトピーの症状が出始めていた弟をアトピー治療で有名な酵素風呂の宿へ連れて行ってくれました。

酵素風呂とは、

檜のおがくずに300種類以上の薬草や野草から抽出した酵素をいれて自然発酵熱を発生させ、その発生熱を利用して入浴する温熱療法(酵素風呂ガイド「酵素風呂とは」)

のことです。
酵素風呂に入り、数十分した後の私たちの背中には「世界地図のように」湿疹がボコボコと出てきたのです。

その夜、私と私の弟はいつもの夜の様に寝ている間に無意識にかきむしる事なくぐっすりと眠り、大きく腫れあがった湿疹は数日経って嘘のように消えました。

酵素風呂はすべての人に良い結果が出るわけではなく、むしろ悪化してしまうだけの方もいますが、私たちの反応は症状が一旦悪くなってから良くなる好転反応でした。現在私は普段の生活で鏡を見ても一喜一憂せず、たまに乾燥が気になる時期があるくらいのレベルまで改善しました。

私が試した数々の治療法の中で、一番良い効果を得られたのは実はこの酵素風呂でした。今回紹介させて頂いた療法以外にも感作療法、食事療法なども行いました。

勿論、漢方が一番効いた、心の悩みを取り除けるカウンセリングが効いた、やっぱり薬と上手く付き合っていくことが一番、などという人もいるかと思います。

ステロイド剤も私の書き方だとメリットがないように見えてしまいますが、お医者さんとの相談により、徐々にステロイド剤を弱めていく治療法で症状が治まる患者さんもたくさんいらっしゃいます。

けれど長い間ステロイド剤を使い続けざるを得ない状況がうまれ、依存していることに嫌気がさして違う治療法で根治を一生懸命探す患者さんがたくさんいるのも事実です。

この多種多様な治療の情報はアトピーになりたての人やその家族にとってすぐに手の届くものなのでしょうか?

多種多様な個人に合う治療法を見つけ出したい

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私は「自分にぴったりだ!!」と思える治療法に出あうのに何年もかかりました。現在も少し肌は荒れる時期がありますが酵素風呂という自分に合った治療法があることでの安心感は計り知れません。悪化の程度はあれど赤ちゃんの頃からアトピーだったことを考えると軽く10年はかかってます。

人間の身体に症状が現れるまでに、その人の日々の生活、つまり食事や運動、心理、また生活環境や行動が関わってきます。それらが複雑に絡み合っている中、対象的に症状を抑えることを得意とする西洋医学だけではなく、「全身を治す」ようなシステムがなければいけないと思うのです。

私は東洋医学のみを推し進めたいわけではなく、いつか西洋医学、東洋医学そしてそれ以外の療法の情報がフラットに患者さんの元に届くことを望んでいます。

それ以外の療法とは、健康に関わる医療行為ではない行動(民間療法、湯治療法、食事療法、心理学的アプローチ、運動療法)のことです。

これらを分かり易く、「ヘルスアクション」と呼ばせて頂きます。このヘルスアクションは私たちが病気になった直後は軽視している行動です。もちろん緊急性があり、ただちに医療行為を行わなければならない場合はいたしかたありません。しかし本来の身体の機能を取り戻して行くためには決して忘れてはいけない事だと思うのです。

「医食同源」いう言葉が存在するようにこのヘルスアクションの中の食事療法は常識だと思う方もいるかも知れません。しかし、本当にそうでしょうか?

私の母はアトピー性皮膚炎には白キクラゲが良いと聞き、食事に取り入れた時期がありました。しかし、それは皮膚科に行って分かることではありません。漢方サロンでももしかしたら教えてもらえないかも知れません。

私たちが「食事療法」と聞く時、その疾患に良いとされる具体的な食材ではなく、あくまで「バランスの良い食事」を考えているのではないでしょうか?さらにヘルスアクションの中の民間療法はしばしば怪しいと思われるのではないでしょうか。

しかし、私にとって一番治ったと実感がある酵素風呂は民間療法でした。これらの療法は分断されずに近くにあるべきだと思います。

「一部のみ」に良いヘルスアクションがあることは、全員ではないけれども一部の人に選択肢や希望を与えることが出来る可能性がある、ということです。それを体質的に分析し、集合知となればそれらの知識は医療行為と同じくらいの財産になると思います。

情報が得られなくて苦しむ人をゼロにしたい

私はこのような西洋医学、東洋医学、健康に関わる医療行為ではない行動全てが集約されたシステムをインターネット上で構築したいと思っています。人々が自分の病気についてあらゆる観点から知り、そして自分で出来る限りのヘルスアクションをしてから病院へ行くことが予防医学、医療費削減などに貢献すると考えています。

もちろん実現にはあらゆる治療法に医学的根拠が必要で時間もかかります。しかし、私はこのニーズがアトピー患者だけにとどまらないと思っています。医学的知識が乏しい私には分からないことがまだたくさんあるので「もっと医学的な知識を得たい」というのが今の正直な気持ちです。

次回はこれらのニーズに関してリサーチして書かせて頂きたいと思います。アトピーは死ぬ病気ではありません。けれども精神的苦痛は死にたくなるほどにもなります。そうではない強い方もいらっしゃると思いますが、私には同じく苦痛に負けそうな人々を救うようなたくさんの希望を与えるしくみが必要だと思えるのです。

私が苦しんでいた時に紙袋いっぱいのきず薬を持ってきてくれた母のように、治療の為に旅行に連れて行ってくれた祖母のように、たくさんの可能性を指し示してくれるインターネット上のシステムが多くの患者とその家族を助けられることを希望しています。

<参考記事>
酵素風呂ガイド「酵素風呂とは」

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