*

製薬会社から医師に支払われたお金を透明化する「Dollars for Docs」

公開日: : 最終更新日:2015/01/10

データジャーナリズムの手法で医療業界のカネの流れを明らかにする動きがアメリカで起こっている。アメリカの非営利組織「プロパブリカ」が公開している「Dollars for Docs」を紹介したい。

不透明な医療業界のカネの流れを明らかにする

Dollars_for_Docs_-_ProPublica

「Dollars for Docs」は、製薬会社のお金がどれくらい医者に届き、それが私達の処方にどう影響しているのか考えさせるWebサイトである。

プロパブリカが注目したのは、製薬会社が医師や医療機関などに提供した資金。製薬会社から医師への資金提供は、臨床研究への協力費など広く行われている。しかし、”もし”両者の間に癒着があれば、特定の製薬会社の医薬品ばかりが採用され、患者に取って不利益になるかもしれない。

アメリカでは大手製薬会社がホームページで、病院や医師に研究資金、講演料、旅費代などをいくら支払ったのかを全て報告する義務がある。しかし、フォーマットも違う数々のサイトを見て詳細を調べることは難しい。

プロパブリカでは、2人のジャーナリストがフォーマットを統一しデータベースで検査できるようにした。これにより、自分がかかっている医者がどの製薬会社からいくら貰っているのかが、簡単にわかるようになった。

「Dollars for Docs」の2つの特徴

「Dollars for Docs」は医療業界の不透明な情報を私達も使えるようなフォーマットにした。そこにデータジャーナリズムの要素とアクティブズムの2つの特徴も併せ持っている。

データを公開するだけでなく記事として継続的に報道

Dollars_for_Doctors_-_ProPublica

1つ目の特徴は、データベースを作り検索サイトを作製しただけでなく、データによって得られる情報や製薬会社と医師の関係について記事を書いているということである。作っただけで終わりではなく、活用してもらうためには継続的に新規ユーザーの獲得とコメントによってユーザーとの接点を持っている。

患者が使用できるチェックリストページの提供

Payment_Disclosure__GlaxoSmithKline_2011_Jan__to_Dec__-_ProPublica

2つ目の特徴は、患者が調べた情報を医師に提示出来るような環境を作ってあるということ。

医師の個人名で検索し、最終ページまで辿り着くと下部にシェアボタンと共に患者がどのように自分がかかっている医師について尋ねたら良いかチェックリストを取得することが出来る。

Payment_Disclosure__ViiV_to_Jennifer_K_Klein_-_ProPublica

印刷し医師に提示することが出来るように、決まった形式に検索した内容がまとまっている。医師にプロパブリカの「Dollars for Docs」のデータベースから取得していることなどが記載されている。

Payment_Disclosure__ViiV_to_Jennifer_K_Klein_-_ProPublica

患者がどんなことを聞けば良いかわかるように例としてチェックリストがあり、医師に患者から取得したデータについて質問をすることができる。

終わりに

データジャーナリズムという側面では以前、データ活用による医療の透明化が医療の質の改善に繋がるという、DPCデータ分析による医療の透明化について「病院データグラフィカ」の事例と共に紹介した。オープンデータをどのように一般市民が使用できるようにするか?という課題に対しては「Dollars for Docs」も似た考えを持っているのではないだろうか?

製薬会社と医師のお金の流れの透明化についてアメリカの事例である「Dollars for Docs」を紹介する形で記事を書かせて頂いた。アメリカではサンシャイン条項により製薬会社から医師や病院へのお金の流れの情報公開することが義務付けられている。日本でも透明性ガイドラインが作られ、医師個人へのお金の流れの情報公開が始まりつつある。

しかし、私がニュースを見る限りは「○○社が○○大学の○○氏に○○万円の講師謝金」というような情報を安易にそのまま出す報道が多いように感じる。その情報がどのような意味を持つのか?それがどう影響しているのか?そういうことが肝心なのではないかと思われる。「製薬会社からお金をもらう=悪い」というイメージが定着してしまっている1つの原因なのではないだろうか?

次回は日本の透明性ガイドラインなどについて考察をする記事を書きたいと思う。

<参照>
「Dollars for Docs」(本文の写真はサイトよりキャプチャ)

『関連記事』

データ活用による医療の透明化が医療の質の改善に繋がる

大規模公開オンライン講座(MOOC)導入を医学教育は求めているのか

薬を使用者が評価する、医薬品口コミサイト「Iodine」

【Facebookページへのいいね!お願いします】

関連記事

首つりとGoogle検索すると自殺防止広告

「死にたい」「助けて」YahooやGoogleで検索すると!?自殺防止に検索エンジンが取り組む

あなたは普段、検索エンジンの「窓」にどんな言葉を打ち込んでいますか。 「○○ 方法」「居酒屋 

記事を読む

6f68bb2c78d0899276ac527f7f7d5565_m

歯学生より。まずはご挨拶。

みなさん、こんにちは。   私はこのたび、ライター登録させていただきました昭和大学歯学部4年の金

記事を読む

イベント終了後に集合写真。何と遠くの方は静岡県から!?

”ゆるふわ”もいいけどガチもいいよ。リリムジカ代表、管さんと考える「ガチコミュニティー」のつくり方。グッドネイバーズカンパニー「いいご近所づくり会議vol.4」

あなたにとっての「いいご近所」はどんなカタチをしていますか。もしかしたら、ご近所のことを数年以上考え

記事を読む

うつ

うつ病やひきこもりについて考えてみたい方におすすめの3冊

うつ病など社会的要因が大きい精神疾患やひきこもりにまつわる本を紹介します。 ①『「社会的うつ病」の

記事を読む

cap5ule_110317_00

在宅医療をITで効率化!明日から使えるアプリ5選

在宅医療には効率化が求められている 高齢化先進国の日本。在宅医療は今後さらに推進していきます。しか

記事を読む

1-GATAアイキャッチ

音楽を通じて1型糖尿病を多くの人に理解してほしい「1-GATA」

1型糖尿病って知っていますか?医療関係者なら当たり前かもしれない。でも、一般の方はほとんどの方が知ら

記事を読む

IMG_0444

アフリカでやりたい100のこと

先日の藤巻君の記事「人生でやりたい100のリスト」に早速便乗してみようと思う。  

記事を読む

1391794_269125669902051_938753544_n

人生でやりたい100のリスト

 あなたのやりたいことはなんですか? やらないで死んだら後悔することはなんですか? 真面目なこと

記事を読む

遠隔医療をする医師

テレメディスン(遠隔医療)という新たな医療の形態。これにより様々な医療問題が解決する…かも!?

テレメディスン(遠隔医療)がここ最近注目を集めています。様々なIT(Information Tech

記事を読む

働き方

医療学生がこれからの働き方を考える上で参考になる3冊

「外科医の仕事の一部が手術ロボットに置き換わる」 テクノロジーの進化により、こうしたことが10

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑