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看護実習で心が折れる原因、「厳しい」と「優しい」の二分法

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こんにちは、看護学生の川上です。
実習中に思ったことや、自分が入院して気づいたことを中心に、さりげない出来事を掘り下げて考えて文章を書いています。

今回のテーマは、多くの看護学生にとって身近な問題、「看護実習で心が折れる原因」です。

悪名高き看護実習、まず変えるべきものは?

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看護実習といえば、「記録が多くて寝る暇もない」「とにかく大変すぎる」と語られるのが一般的です。残念ながら、これらは間違いではありません。実習中にストレスで病気になったり、看護師になるのが嫌になったりして、学校を辞めてしまう学生もいます。

かく言う私もドロップアウト寸前で、先生方や友達に助けられ、かろうじて乗り切りました。

実習は、かけがえのない学びの場であると同時に、学生をふるいにかける試練でもあるのです。

実習をしてみて「やはり自分は違う道に進みたい」と考えること自体は問題ないと思います。看護師という選択肢をなくして初めて、本当にやりたいこと、進むべき道が見えてくることもあるでしょう。

一方、たまたま実習中に嫌な思いをして「看護の仕事に魅力を感じているけれど、自分には無理だ。他にやりたいこともないけれど看護は……」と考え、失意のうちに退学する学生もいます。必ずしも適性のない学生だけが辞めていくのではなく、運に左右される部分があります。

実習環境への不満、指導者への不満、レポートの様式への不満……挙げればきりがないほどの不満を、看護学生は胸中に抱えています。しかし、そのような「自分の外側にあるもの」を変えるには大変なエネルギーが必要です。

それなら、まずは自分の内側にあるもの、自分の力で変えられるものを見直してみよう、というのが今回のお話です。具体的には、学生が指導者を「厳しい」と「優しい」の2種類に分けてしまうと何が起こるのか、どうしたら心が折れにくくなるのか考察していきます。

看護実習生の最大の関心事

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看護実習では、「成人看護学」「老年看護学」「小児看護学」などの領域ごとに、いくつかの病棟をまわります。時には訪問看護ステーションや地域の保健センターでも実習させていただきます。

初めて行く場所でドキドキしながら思うのは、「今度の指導者さんはどんな人かな。優しい人だといいなぁ……」です。おそらく、大半の学生がそうだと思います。

「そんなことよりも患者さんのことを考えろ! 真面目に勉強しろ!」と思われるかもしれません。

でも指導者さんが「優しい人」だと、ストレスが少ないだけでなく、「学生ならではのフレッシュな発想を活かして患者さんの役に立とう!」という気持ちで実習ができるのです。

一方、指導者さんが「厳しい人」だと、多くの看護学生は萎縮してしまいます。
常に指導者さんの顔色を伺わなければならず、「もっと患者さんのために行動したいのに」とジレンマを抱えます。
ビクビクしているために自分の考えを言葉にできず、「こんなに色々考えているのに、何も考えてないと指導者さんには思われている」と苦悩することもあります。
誤解されて反論したくても、「単なる言い訳だと一蹴されるんじゃないか。生意気な学生だと思われるんじゃないか」と思うと何も言えず、悔しさに涙することもあります。

このような事情があるため、多くの看護実習生にとって「指導者さんが厳しいか、優しいか」というのは最大の関心事なのです。

でも、ちょっと待ってください。
指導者さんだって生身の人間です。「厳しい」と「優しい」の2種類しかいないはずはありません。それに、看護には厳しさも優しさも必要です。
次の段落で詳しく見ていきましょう。

「厳しい」と「優しい」に分けることの弊害

「厳しい」と呼ばれる指導者にも、一人ひとり個性があります。例えば、

・厳しい言葉を発するけれど学生の面倒をよく見てくれる、いかにも優秀な人
・ガンガン宿題を出し、きちんとできたことは褒めてくれる人
・「根拠は?」が口癖の人
・話がかみ合わず、一方的な主張を押し付けてくる人
・高圧的な態度で学生を怖がらせ、意のままにしようとする人

などです。3番目や5番目の人は、しばしば「怖い」とも言われています。

「優しい」と呼ばれる指導者も色々です。

・仕事ができて学生にも優しく、きちんと教えてくれる理想的な人
・細かいことにこだわらない人
・いつもにこにこしている人
・フレンドリーで、学生に雑談を振ってくれる人

など、さまざまな指導者が「優しい」と呼ばれています。

「厳しい」と「優しい」の二分法の弊害は、心が折れやすくなることです。

第一印象で「この指導者さんは厳しい」と思ってしまうと、なかなかその固定観念から抜け出すことはできません。学生は身構えてしまい、過去に出会った指導者さんたちを思い出して「この人も話を聞いてくれないかもしれない」「この人も高圧的な態度で怖がらせてくるかもしれない」などと心配します。

その結果、新しい指導者さんがどのような人であっても、過去に出会った指導者さんのイメージを重ねてしまい、ビクビクすることになります。
過去に嫌なことがなくても、「この人は厳しそうだから、きっと意地悪な質問をしてくるに違いない」などと想像するかもしれません。
色々と心配するだけで、心のエネルギーを消耗してしまいます。

逆に第一印象で「この指導者さんは優しい」と思った場合はどうでしょう。
むしろこちらのほうが厄介かもしれません。「優しい人」だと信じていた指導者さんが少しでも否定的なことを言うと、学生は動揺します。

学生と指導者との関係がうまくいかない背景には、このような問題が隠れている場合もあると思います。

初対面でいきなり「何を学びたいの?」と聞かれたからといって、「こんな人が指導者だなんて、今後どうなるのだろう」と心配しても意味がありません。
にこやかな人だからといって、「学生を否定することはないだろう」と思い込んではいけません。

まずは「厳しい」と「優しい」の二分法を捨てましょう。
そうすることによって、単なるポジティブシンキングよりも効果的に、心を折れにくくすることができます。

なぜ「厳しい」と「優しい」に分けてしまうのか

さて、看護学生が指導者さんを二分法でとらえてしまう根本的な理由は何なのでしょう。

10年前、15年前へと記憶をさかのぼってみてください。

無意識のうちに、幼稚園・保育園の先生や学校の先生を「厳しい」と「優しい」に分けていませんでしたか?
「来年の担任は優しい先生がいいな」と思ったことはありませんか?
優しいと思っていた先生に叱られると、とてもショックだったのでは?

これは指導者さんに対する学生の態度とよく似ています。

つまり、「厳しい」と「優しい」の二分法は、あまり多くの人と接したことがない小さな子どもの考え方なんだと思います。
20歳前後の学生には合いません。もう着られない子ども服のようなものです。

指導者さんの色々な面を見つけよう

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先ほど登場した「学生に雑談を振ってくれる人」は、学生に好かれることが多いです。雑談は緊張がほぐれるだけでなく、指導者さんの色々な面を知るチャンスだからだと思います。

指導者さんとの関係がうまくいかないときは、冷静に指導者さんを観察して考えてみましょう。

「この人は、どうして看護師になりたいと思ったんだろう」
「学生指導に対してどんな思いを持っているんだろう」
「家ではどんなふうに振る舞っているんだろう」
「聴診器もボールペンもピンクだから、ピンクが好きなのかな。それとも患者さんが安心する色を選んでるのかな」
「私が指導者になったら、この人と同じことを言うのだろうか」

指導者さんの態度や言葉の裏にある思いを感じ取ることができるかもしれません。今までは思いもよらなかった新しい面が見えてきて、「そうか、この人のこういう面が指導の仕方に表れているのか」と気づくかもしれません。

少しでも心に余裕ができたら、
「そうだ、指導者さんは、忙しい中で学生のために時間を割いてくれている。実習には欠かせない存在だ」
という事実を思い出すことができます。

「厳しい」と「優しい」の二分法をやめること、そして指導者さんの色々な面を見つけること。これは、どんな環境にあっても自分の力でできることです。

人をさまざまな角度から眺め、社会的な枠をこえたひとりの人間としてその人を捉えるのは、看護学生の得意分野だと思います。相手が患者さんでも指導者さんでも、原則は同じです。

看護実習で悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。

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