*

データ活用による医療の透明化が医療の質の改善に繋がる

公開日: : 最終更新日:2014/12/30

メディアが未来を変えるには?そんな話題で5月にMITメディアラボ×朝日新聞シンポジウムが行われた。その中で2月のジャーナリズムハッカソンでグランプリを取った「病院データグラフィカ」のプレゼンと伊藤穣一さんのコメントが素晴らしいので紹介したい。

病院データグラフィカは、ざっくり言うとDPCデータを分析し患者の病院選びや自分にあった治療の出来る医療機関を分かりやすく探すサイトである。医療の質を高めるためにデータにできることとは何だろうか?そう考え、朝日新聞の記者とエンジニア、デザイナーが2日間に渡って作り上げた成果に敬意を評したい。

治療にかかる期間というのは全国の病院ごとに差があるのか?

WS000116WS000115http://www.asahi.com/miraimedia/sympo/hackathon/team/medical.html

医療チームは脳卒中が治療を早く終え、リハビリテーションを出来るだけ早く始められれば手足の麻痺の改善や予防をする事が出来ることに注目した。しかし、治療にかかる期間というのは病院ごとに差があるのか?その事に疑問を覚え、厚生労働省が公開しているDPCデータを分析し全国の病院を調査した。

脳梗塞患者の治療にかかる平均在院日数の変化(2007-2012年度)をグラフ化し、病院間の差や年ごとの変化を明らかにする。これだけでは、このデータをどのように使えるか分からないが、1つの例を示した。

DPCデータを分析し、脳梗塞患者の治療にかかる平均在院日数の変化を調査

WS000112WS000111http://www.asahi.com/miraimedia/sympo/hackathon/team/medical.html

ある病院では、2007年度段階で全国241位、17.4日の治療日数がかかっていた病院が2012年度には第5位の7.9日まで改善をしている。果たしてどのような取り組みをして改善がされたのか?気になるところです。

調査を行うと、この病院では4年前に脳卒中ケアユニットという脳卒中専門の医療チームを導入し、24時間・365日、緊急治療に対応可能な体制を整えていたことがわかったそうです。

医療の質を高めるために、なぜ良くなったのか検証する。

WS000118
http://www.asahi.com/miraimedia/sympo/hackathon/team/medical.html

現在の治療に要した日数だけを見て、良い悪いを考えて病院選択をするためのサイトではなく。時系列で病院を追う事で、なぜその病院が改善されたのか?という知恵を共有出来る事を示したことがこのプレゼンの良い所ではないかと思います。データに基づいた知見が全国に広がれば、今まで改善されていなかった病院も良くなるかもしれません。

情報をまとめるだけでなく、情報の使い方の1例を示す、そして受け手が様々な考え方を持っていればそれは無限大に医療の可能性を広げてくれる。それを教えてくれます。

ジャーナリズムとアクティビズムの架け橋となる

プレゼンの後、シンポジウムで伊藤穣一さんが下記のようなコメントをしています。

データジャーナリズムのハッカソンだけれども、これはジャーナリズムを超えた作品をつくったと思うんですよね。ジャーナリズムを使って情報を伝えることによって世の中を良くする。それは受けた側がどうやってそれによって社会を変えていくかという、英語ではcivicsと言うんですけれども、どうやって個人、市民として社会にかかわるかというのが重要なポイントです。

今までのジャーナリズムのように情報を出しっぱなしにするのではなく、その後もどう使ったら良いのか?多くのコミュニティーと考えていく。これに正解は無いはずなので常に新しい使い方や間違っている事は改善していく。それが大切なのではないかと感じました。

このM−Laboでも病院データグラフィカを紹介することが1つの役割となると共に、このサイトのデータを弄って、改善をしている病院を取材したりすることが1つの価値を生むのかな?と考えています。

この記事を読んで、何かこんなことに使えるんじゃ無いか?もっとこういう情報と連携した方が良い。などご意見ありましたら、ぜひFacebookページのコメントなどで議論出来ればと思います。

『参照』
MITメディアラボ×朝日新聞シンポジウム ustream動画 13:00〜22:00
病院データグラフィカ
データジャーナリズムハッカソングランプリ医療チーム概要

『関連記事』
糖尿病をハックする「第3回ヘルスケアハッカソン 東京」レポート

薬を使用者が評価する、医薬品口コミサイト「Iodine」

日本の母子手帳と震災の経験から生まれた「Save the Baby」の挑戦

関連記事

41amnjbQ59L._SL500_AA300_

医療者に死生観を丸投げする患者やその家族─研修医の提言②

前回記事『死生観を医療者が学ぶ危うさ』で医療者が死生観を育む危険性を説いた。 医療において死生

記事を読む

02IMG_3629

医療を変える「デザインの力」

「アート×医療」とか「建築×医療」とかそういうキーワードが流行り始めてきている中、どうしても実感が沸

記事を読む

memory

医療者が知っておきたい、経営学者から学べる3つの視点

今日は、半年前高校の同級生(文系)に「ここ最近読んだ中で一番面白かった本は?」と聞いて読んでみたら、

記事を読む

01_947375_31536446

「痛み」をナラティブに考えるための3冊

 入院中にAmazonでポチりまくってる谷岡です。暇に飽かせて、読書だけは励んでいますw いろんな

記事を読む

20120722183100414

リハビリテーションと異分野融合の可能性

はじめまして。 愛知でリハビリテーションを専攻している中川 征士と申します。 これから月に数回程

記事を読む

01_トップ

獣医学生から見た「医療」とは

はじめまして!麻布大学獣医学科3年の班目美紀(まだらー)です!今は、養豚から世界を明るくしていきたい

記事を読む

国会

SNS時代に医療者ができるアクションの可能性

1月頭の定期試験も終わり、最近ようやく没頭したいテーマが見えてきた。 2014年をかけて、仲間と共

記事を読む

MAY

認知症改善への道すじ【私達を支える看護学番外編】

看護学研究の世界へようこそ! 全5回にわたる私達を支える看護学シリーズ。反響戴きました皆様に感謝の

記事を読む

座る

なぜ人は座って食事をとるのか?

姿勢を整えることで、喉に食べ物が詰まることを防ぐことができる 「楽に、安全に、食事が食べら

記事を読む

neko

床(とこ)ずれと予防

「床ずれ」とは? 私達は普通、無意識のうちに眠っている間は寝返りをうったり、長時間椅子に座

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑