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異分野同士の理解を促すダイアローグという手段

公開日: :

【M-Labo Social インタビュー企画】

※前回のインタビュー記事はこちら

引き続き、NPO法人ミラツク代表の西村勇哉さんに、医療と異分野の人々が交わり、新たな価値を創る上でのポイントを伺っていきます!

多様性を高めた上で会話を成り立たせることは難しい

内原 多様な背景を持った参加者によるダイアローグが行われていますが、そこから知恵を生みだす場をつくる上で、西村さんが気をつけているポイントは何でしょうか。医療においては、非常に多くのステークホルダーが絡み合いディスカッションが前に進まないことも多々あるのですが…

西村さん 何よりも、事前の準備をきちんとすることを心かけています。

例えば、ダイアローグにおいては、誰を参加者として呼ぶか、毎回よく考えています。
会っていない人をお呼びすることはなく、一度お話したことのある方のみをお招きし、会った事のない人をお呼びすることはありません。場合によっては、1度でダイアローグが崩壊してしまう可能性もありますしね。

参加者のセクターの多様性はもちろん大切ですが、その分会話が成り立たなくなるリスクも上がります。
それでは、来てくれた人の満足度が下がってしまう。多様性を高めた上で会話が成り立つのがミラツクの面白い所なので、一人一人あらゆるセクターにおいて「この人なら大丈夫だ」という人を呼ぶことにしています。

Workshop
他にも、アイデアを出すようなワークショップの場合は、準備として事前のリサーチ、やインタビュー、統計データといった情報を豊富に用意しています。これらをワークショップの中に取り入れる事で、アイデアの出やすい環境を整えています。

異分野同士でも、ダイアローグによりお互いの理解が進む

内原 これまでのダイアローグの取り組みの中で、手ごたえはどうでしょうか。

西村さん 共同プロジェクト、共同事業が参加者同士で毎回立ち上がったりしているのが、小さなレベルでは成果と言えます。

また、回を重ねるにつれて参加者の多様性がどんどん高まってきている。7年前のスタート時は、私が企業研修の担当だったこともあり、企業で働いている人、という「関係者」ばかりでした。しかし、繰り返していくことで、初期の参加者が周りに声をかけてくれ、来てくれている人の輪の広がりが増えてきています。

さらに、以前よりもお互いスムーズにコミュニケーションをとれるようになってきていると感じています。
例えば、企業の人は、初めは地域での取り組みについて理解しづらかったり、NPOのセクターでも子育てについて取り組んでいる人と、国際協力に取り組んでいる人とではお互い理解できない、みたいな状況は意外と起こりやすいです。これも、繰り返しダイアローグを重ねることで、参加者も「話す」という機会を得るので、お互い理解したり、歩み寄るという変化が起こっています。

ジャーナリストのような感覚で、面白い人に会いに行く

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内原 ダイアローグは完全招待制で、「おもしろい人」のみを呼んでいらっしゃるとのことですが、「おもしろい」の判断基準、着眼点はどういったところでしょうか?以前ミラツクに参加させて頂いたときも、個性的な参加者が多いと感じました。

西村さん 人を呼ぶのは、ジャーナリストに近い感覚でやっています。待っていてもこないので、こちらから会いに行く。違う分野に面白い人がいるのではないか、新しいネタを常に探しているような感覚です。いまその人と関わっていてもいなくても、こちらから面白いと思った人に会いに行きます。東京に来るときは、一日に7、8人も会うこともあります。

北海道にいる、と言われたら行く。海外にも一昨年、昨年と行っていた。

もちろんこれらは仕事として行くわけではないです。報酬をもらってから動くのではなく、まず動き、掘り起こして、編集して世の中に出す、という行動はジャーナリストに近いのではないでしょうか。

まずは、自分の身の回りで価値提供できる事が大切

内原 では、西村さんの考える「おもしろい人」になるには、どういったことが求められるのでしょうか(笑)

西村さん 自分がやるべきことをきちんとやっていたり、自分の力発揮できるとこに注力できている人ですね。
「面白いな」と思うことは色々あるけど、自分には机はつくれない、みたいにあれもこれも自分がやるべきこととは限らないです。自分がやるべきことをきちんと選択できるのが大切なのではないでしょうか。

メガホン
あとは、身の回りの事にしっかり関わって、価値提供ができている人。どうしても本だけ、動画だけ、とインプットばかりになりがちですが、一方的な情報提供だけを受け続けるのは、あまり意味がないように思います。身の回りの、お互いに価値交換できる機会に足を運ぶ。自分の価値を提供、むこうから価値ももらうのが大事です。

特に、ソーシャルメディアで自分から発信できる今の世の中は、そういったものを見つけやすいのではないでしょうか。

編集後記

ミラツクのダイアローグに参加するたびに、毎回新たな気づきを得られていると感じていましたが、その裏には、主宰する西村さんの地道なキャスティング等といった努力が積み重ねられていた、というのをインタビューを通じて深く実感しました。

僕も、将来は医療者としての専門軸を持ちつつ、社会との接点を持つ働き方をしたいと思い、いまは研究者や企業、投資家など様々なステークホルダーを巻き込んだ、医療におけるイノベーションの起こりやすい場・拠点作りを、SFCのゼミのプロジェクトで取り組んでいます。その中で、医療のように専門職の専門性が高く、非専門の方との間で共通言語が少ない業界における仕掛けは、特に工夫しないといけないと感じていました。

そこで、ミラツクのように異分野の人がじっくり腰を据えて行うダイアローグの仕掛けは、単なる学会などでの名刺交換と比べ、人と人との関係性から何かを生み出す手段としてとても効果的なはずなので、ゼミでのプロジェクトでも積極的に取り入れてみたいと思います。

また仕掛け人としての西村さんの行動力も、真似していきたいです。例えそれが仕事ではなくても、自身の信念に基づき、地方だろうと海外だろうと会いたい人には会いに行くという姿勢は学生の自分でも真似できることではないかと感じました。

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