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医療者だから身につけておきたい救急救命技術

公開日: :

こんにちは、昭和大学歯学部4年の金箱志桜都です。 

先日、BLS(主に心停止の人に行う一時救命処置)の講習を私の大学のキャンパス内で開かせていただきました。 

準備はとても大変で、長い間記事を書くことができませんでしたが、1日を通して受講者が成長していく姿がとても嬉しかったです。また後日、心停止回避コースを開く予定です。

今日は、先日のイベントに関連してなぜ歯学生の私が救急救命技術を身につけ、自分と同じ医療系学生に普及させていきたいと思っているのか。そして、あわせて医療安全や救急救命技術について書かせていただきます。

 

病院ごとにバラバラな安全対策への意識

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病院や診療所を見学させていただく中で、私がそれぞれの違いを一番感じるのが、安全対策への意識や緊急時に対する意識の違いです。

ここまで徹底してするのか、という病院や診療所がある一方、

『急変や心停止時、どう行動していいか決めていなかった診療所』
『今では駅や体育館など、どこにでもあるAEDを置いていない所』
『医師も看護師もいるのに心停止にもかかわらず、救急隊員が来るまで心臓マッサージもしていなかった医院の話』

などあります。

 

病院の対応がバラバラである理由

なぜ、こんなに対応がバラバラなのか。理由はいくらでもありますが、その1つはいくら安全対策をしても直接お金にはならないからではないでしょうか?

これは、どの業界でもそうだと思います。食料品業界でも建築業界でも安全対策にはいくらでもお金をかけられますが、その結果商品の値段が上がり、売れなくなっては仕方ありません。

しかし、医療業界においては基本的に保険点数を稼ぐことでお金が入るわけですから、一つの医療行為をするのにどんなにお金がかかっても、かけていない所と同じだけしかお金はもらえません。それだけを考えたら、コストをかけないほうがより利益が出ます。

その他に

めったに起こらないであろう事態への薬剤や道具を揃えるのは不経済であると考えている。

いざとなれば、救急車を呼んで入院設備がある病院に搬送すればいいと考えている。

のではないかと思います。

 AED

しかし、一般人が心臓マッサージをしてAEDを使う今日、医療者である私たちが心停止等の急変に対する備えがないのはおかしいのではないでしょうか?

医療行為は不利益が利益を超えるから行える手技です。

メスで切るのも薬を飲んでもらうことも、採血やX線などの様々な検査をすることも患者さんの負担になりますが、それを超える価値が医療行為にはあります。医師であってもむやみに体を切り刻んだり、必要のない検査や薬を使ったりはできないのです。

自分の仕事が患者さんの負担をかけるのに、その負担に対する備えは必要なのではないかと考えています。

 

また、高齢化で心臓や腎臓等に持病を持っている方が増えていく中、今よりもさらに急変する可能性がある患者さんが増えていくでしょう。

そんな時代に、患者さんに求められる病院や診療所とは、「安全対策をしっかりと行い、万が一のときの緊急対応をできるところ」だと私は確信しています。

 

航空業界から学ぶ「訓練」の考え方

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こういった備えをしっかりやっている他の業種はどこでしょうか?

私は航空会社が一例に思い浮かびます。

 

先日、CAの方と飛行機の中でお話しする機会がありました。

その会社の安全対策や緊急訓練のお話を聞いて、とても徹底されているととても感心しました。年に2回かならず緊急対応訓練を受け、常に最悪の状況を想定し、何度も訓練を行い体で覚えるまで訓練を行う。

そのためか、その航空会社の昨年の事故は0件で、事故の手前のインシデントは1件だったのです。また、先進国より途上国の航空会社の方が事故やインシデント件数が多いと聞きました。

コスト削減の際、安全対策や緊急訓練は、最低ラインまでカットされる傾向にあるからだと私は考えています。

 

一方、11の都立病院を合わせた昨年のインシデントは23,381

アクシデントは759でした。もちろん業種が違うので、単純に比較はできませんが、この数字が示すように医療という業種においては安全対策と緊急対応は切ってもきれない関係なのです。

 

BLSこそ緊急対応の基本

緊急対応の入り口はなんでしょうか。

それは、BLSと呼ばれる主に心停止の人を想定して行われる1次救命処置です。これがありとあらゆる緊急対応の基礎中の基礎だと私は思います。 

最近、BLSを学ぶ環境は整ってきています。例えば消防、赤十字、AHA等で講習を受けると認定書がもらえ、ある一定のレベルを有していることを証明してくれます。

学生なら、現在は様々な救急に関する学生団体が設立され、安価で気軽に受講することもできます。
社会人なら、病院や医師会などの組織が定期的に開催しています。 

料金も、内容も色々と違いがあり、自分にあったBLSを取得することが出来ます。

 

大事なのは継続すること

BLSでも一番大事なことは継続することです。

普段使わないことは忘れてしまいます。少なくとも数年に1回は受講する必要があると考えています。BLSのやり方も変化していくし、なにより普段使わないことは忘れてしまうので。 

日本の航空会社のように、「日本の医療機関は海外と比べて安全安心だ」という評価を一緒に作っていきませんか?※1

 

※1日本の有名な2大航空会社は最高ランクの★7を獲得している。
Safety Ratings Per Airlinehttp://www.airlineratings.com/safety_rating_per_airline.php

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