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デザインで医療の問題を解決する―【issue+design】社会の課題に、市民の創造力を 筧裕介さん

公開日: : 最終更新日:2014/06/04

【M-Labo Social インタビュー企画】
M-Labo Socialならではのコンセプト!Socialな分野で活躍されている方に続々インタビューしていきます♡

今回は、医療×デザインをテーマに、『issue+design 社会の課題に、市民の想像力を』の代表でいらっしゃる、筧祐介さんお話をお伺いしてきました!『issue+design 社会の課題に、市民の想像力を。』は、社会課題を市民の創造力で解決し、安心して暮らせる社会が実現することを目標として掲げています。

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筧 裕介
1975年生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)
1998年株式会社博報堂入社。2008年山崎亮氏他とissue+design 設立。
以降、社会課題解決、地域活性化のためのデザイン領域のプロジェクトに取り組む。
著書に『ソーシャルデザイン実践ガイド』『地域を変えるデザイン』『震災のためにデザインは何が可能か』など。
代表プロジェクトに人との出会いを楽しむ旅のガイドブック「Community Travel Guide」、震災ボランティア支援の「できますゼッケン」、育児支援の「親子健康手帳」など。グッドデザイン賞、キッズデザイン賞審査委員長特別賞、日本計画行政学会・学会奨励賞、竹尾デザイン賞、Biennale Internationale Design Saint-Etienne 2013(フランス)、Sh?nzhen Design Award (中国)他国内外の受賞多数。

 

デザインとは?

設計、Webデザイン、イラストなどなど様々な意味がありますが、ここでのデザインとは、一時期流行した言葉でもある「デザイン思考」のことです。

issue+designのHPにはこうあります。

「デザインには問題の本質を捉え、そこに調和と秩序をもたらす力がある。美と共感で人の心に訴え、社会に幸せなムーブメントを起こす力がある。」 

デザイン思考とは、どのような問題に対してもクリエイティブなアプローチ活用して解決しようとする考え方のこと。解決すべき問題の神髄を見極め、出来るだけ多くの解決アイディアを考慮し、全く新しいチャンスを見つける事が出来ます。いかなる種類のビジネスにも活用可能、いかなる部署/役職においても活用可能、スタッフ全てがそのプロセスに参加可能なのです。

詳しくは、筧さんの著書に「ソーシャルデザイン実践ガイド――地域の課題を解決する7つのステップ-筧-裕介」がありますので、ぜひご覧ください。次回以降もこの内容を取り扱って行きたいと思っています。

issue+designでは、すでに医療・保健分野でデザイン思考の力を使ったプロジェクトを進められています。

 

Ⅰ、医療×デザインの可能性

松井:デザインの視点で、医療はどう変わると思いますか? 

筧さん:医療や保健分野にはすごく興味があります。なぜなら、法律、制度、技術、といったものをベースに作られてきました。だから、病院や行政の世界で起きていることは人間中心ではないんです。

そういった中で、使い手の立場にあったものを考えられていないことに、私は問題意識がありました。僕らがプロジェクトを始めた2008年あたりは特に、医療系の方々はそういった問題意識は薄かったと思います。だからこそ、医療において、患者さんを中心としたイノベーションは起こりやすいのではないかと考えています。

 

Ⅱ、医療者は患者さんにあったアプローチ方法を考える必要がある。

 

筧さん:医療・保健の現場では、保健師さんや看護師さんなど、普段から患者さんや子どもや高齢者と接している現場の人たちというのは、非常に切実な問題として捉えているんですよね。

お母さんに保健指導しても、納得してもらえなければ子どもの食生活は変わらないし、運動指導しても生活習慣病の人は生活習慣を改めることがありません。だから、保健師や看護師は、その人にどのようにアプローチしたら解決できるんだろう?と普段から考えているんです。

一方で、医師は、そういう世界からまだまだ遠い存在だと思います。診察をして処方を出すなど決まった視点で見ているので、患者さん側の視点をまだまだ意識的に持っている人が少ないです。医師の意識が変わらないと医療はなかなか変わらなかったという背景があったんじゃないかと思います。

デザインを専門とする私たちは、よく保健師や看護師から相談を受けることが多いです。その中の一人で、「神戸の心の健康センター」という自殺やうつ病対策をしている保健師さんから相談を受けました。就活などを経た学生や新社会人などの若者のうつ病を市からどうにかしなくてはならないと思っていました。

普段、若い人は特に行政職員と関わる機会はあんまりないと思うのですが、行政職員である保健師たちには、若者にどういう風に関わったら解決できるかなかなかいい案が浮かばなかったんですね。そんな時に相談が来て、うつ病のウェブサービスを運営し始めました。

それが「ストレスマウンテン」というプロジェクトです。

 

 Ⅲ、美しい、楽しい、面白い!そういう気持ちが人を動かす。

 

松井:そういうプロジェクトを始める際には、医療者を巻き込んでデザイン思考というものを用いているんですか?

 筧さん:行政の人や医療者もそうだけど、~しなくてはならない、~するべきだ、という禁止とか義務のアプローチをしますよね。これで人は動くか?というと、そんな簡単に動くほど賢くなくて。

それに対して、デザイン思考のアプローチというのは、「これだったら私も参加したいな!」とか「自分もできそう!」と人に思ってもらえるようなアプローチです。美しい、楽しい、面白い!そういう風に人の気持ちを動かすんです。走りなさいではなくて、走るのが楽しいと思ってもらうんです。 

例えば母子手帳のプロジェクトがあります。「日本の母子手帳を変えよう。」

 お母さんたちにこれを大切にしたいと思ってもらい、読んでいて分かりやすいと思ってもらえるように情報を載せたり、メモ欄も使いたいなとおもってもらえるようなデザインにしています。それが育児のことを真剣に考えているという状況を作り出せたらいいな、と。医療における様々な職種や学生たちと相談して話し合って、総合的な決断として実行するということをやっています。

 

 Ⅳ、新しい事に挑戦し、前向きに課題を解決してほしい!

 

松井:最後に筧さんの考えるデザインの魅力、読者に伝えたいことは? 

筧さん:先にも話しましたが、禁止や義務のアプローチともいえる行政や医療の世界でも、「みんなで何かをつくる」ということ自体は私のやっていることとそんなに変わらないと思います。ぜひ、後ろ向きではなく前向きに問題を解決してほしいですね。特に若い人には前向きに新しい事に挑戦して問題を解決していってほしいな!と思います。

 

編集後記

いかがでしたでしょうか?

デザイン思考は、デザイナーだけのものではありません!デザイン思考を用いれば、どんなことでも楽しく解決できます。そう、あなたの身の回りのことも。

医療の分野はすごくわくわくするような難しくて面倒な問題がたくさんあるのだと言います。それは、医療者が医療に染まるほど、気付けなくなってしまうのかもしれません。

でも、問題がたくさんあるということは、自分が挑戦できる、やれることがいっぱいあるということ。これが、医療の外からみた医療の現実なのです。

医療においてもさらにクリエイティブな力と豊かな想像力を発揮していき、これからより良い医療を創っていく必要があるのではないでしょうか?

 

『引用サイト』
btrax ,【やっぱりよくわからない】デザイン思考ってなに? 

『筧さんの著書 / デザイン思考についての参考図書』
筧-裕介(2013)ソーシャルデザイン実践ガイド――地域の課題を解決する7つのステップ- ,英字出版株式会社
筧祐介(2011),地域を変えるデザイン,英治出版
筧祐介(2009),震災のためにデザインは何が可能か,NTT出版
山崎亮,コミュニティデザイン 人がつながる仕組みをつくる,学芸出版社

インタビュアー/文責: M-Labo運営 インタビュー企画長 看護4年 松井晴菜

 

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