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アカデミーキャンプ~福島の子ども達に遊び、学べる機会を~

公開日: : 最終更新日:2014/04/29

 

“震災後にいのちを守るにはどうしたらいいか”

そんな友人からの質問に、一人の医学生の立場から答え始めたことがきっかけで、今回のアカデミーキャンプに参加することが決まった。

いのちを守るとはどういうことなのか、守るためにすべきことは何なのか。生きているということが当たり前だった私に、いのちを守って生きているといった感覚はなかった。日々、医学を学んでいるのだが、「いのち」というものについてじっくりと考えたことはなかった。今回キャンプに参加し、「いのち」というものを「こころ」と「からだ」の2つの視点から考えることで、改めていのちの尊さというものを実感することができたように思う。

 

福島の子どもたちの経験に触れて

今回のキャンプに参加したのは、福島の中学生や高校生。みんな東日本大震災を経験していた。震災当時を思い出すのはもちろんのこと、話すということはとても辛いことであったと思う。しかし、子どもたちは、震災を経験したことのない私に、当時のことを詳しく話してくれた。

経験したことのなかったものすごい揺れのこと、震災直後は親となかなか会えなかったこと、一人で家にいたときに揺れてとても怖かったこと、しばらく外で遊べない日々が続いたこと、入学式が放送で行われて悲しかったこと、などを時には目に涙をうかべながら話してくれた。

しかし、震災があったからこそ、こうしてアカデミーキャンプに参加できることは嬉しい、と笑顔で語っていた子どもたちを見て、なんて強い子たちなのだろうと驚いたことを覚えている。子どもたちは、震災で経験したことは忘れてはいないし、まだこころに傷を負っているかもしれない。しかし、子どもたちが皆しっかりと前を向いて歩き出している姿に、私は逆に元気をもらったように思う。

震災時の経験を語ってくれた中学生

震災時の経験を語ってくれた中学生

 

1日目:「ひとが生きている」こと

キャンプの1日目は、震災後にからだを守るということについて学んだ。生きるということ、死ぬということはどういうことなのかといったことから始まり、生命徴候を表すバイタルサイン(バイタル)の中の、呼吸・脈拍について実際に実感することで、いのちについて考えた。

バイタルを確認するということは、医療従事者にとって最も基本的なことであり重要なこと。しかし私は、バイタルというものが「ひとが生きている」ということを表していると考えながら見ていなかったことに気がついた。単にバイタルの値だけを見て、悪ければどのように対処するべきなのか、といったことを主に考えていた。バイタルが表している本来の意味を、学びを通して理解できたことは、私が今回参加することで得た収穫の一つだった。

心臓が動いているということ、呼吸しているということを、聴診器で実際に聞いてみた実習の時間では、子どもたちが初めて聴診器を手にし、心音や呼吸音を聞いて感激している様子を目の当たりにし、自分が初めて聴診器を手にし、友人の心音を聞き合い感動した記憶が鮮明に蘇ってきた。それと同時に、もはや心音や呼吸音を聞くことに対して特に何とも思わなくなっていたこと、「これが心臓の動く音なのか」と感動したことを忘れていた自分が悲しくなった。それでも、そんな自分に気付くことができたということが、私にとっての学びであったと思う。

 

生まれて初めて聴診器を使って、心音と呼吸音を聞く小学生

生まれて初めて聴診器を使って、心音と呼吸音を聞く小学生

 

バイタルを取りながら、生きているって何かを考えました

バイタルを取りながら、生きているとは何かを考える

 

2日目:子どもたちの「こころ」と「約束」

キャンプの2日目は、震災後にこころを守るということについて学んだ。震災が起きてから今までの自分の気持ちを振り返り、気持ちの変化を折れ線グラフに表した。

ペアになった福島の中学生の折れ線グラフは、震災が起きた当時は落ち込んだ様子だったが、そのあとはずっと気分が上り調子だった。もともと、前向きで落ち込むことはめったにないと彼女は話していたが、それにしても、震災後すぐに立ち直り、前をひたすら向いて頑張っている彼女の精神の強さに驚いてしまった。自分より10歳も若い子どもたちの方が何倍もしっかりしているということを知り、負けてはいられない、と密かに思ったひと時であった。

震災当時から今までの心の変化をグラフにして、気づいたことを語りました。

震災当時から今までの心の変化をグラフにして、気づいたことを語った

 

最後に、震災後にいのちを守るための約束をひとり3つ考えた。福島の子どもたちが、「震災が起きた時は声をかけあい助け合うこと」を約束のひとつに入れていたことが、とても印象的であったことを覚えている。中学生・高校生が、自分のいのちを守るために「助け合う」と言えるということに、心から感銘を受けた。震災を経験した子どもたちの方が、私の何倍も大人なのかもしれないと思わずにはいられなかった。

一人ひとりが考えた命を守る約束を互いに説明し合いました。

一人ひとりが考えた命を守る約束を互いに説明し合った

 

約束を話した後は、互いにサインを交換して「約束の証人」となりました

約束を話した後は、互いにサインを交換して「約束の証人」となった

 

おわりに

福島の子どもたちとの2日間の学びを通して私が学んだことは、医学という自分の専門分野をしっかり学び、臨床の現場で役に立つことができるよう努力する義務があるということ、多くの人と関わり、助け合って生きていくことが大事であるということ、そして何より、いのちの尊さであったように思う。いのちというものをじっくり考えることができたということは、私のこれからの医療に携わる人生において大きな意味を持つだろう。そんなきっかけを与えてくれた福島の子どもたち、そしてアカデミーキャンプに感謝したいと思う。

 

参考

アカデミーキャンプHP http://academy-camp.org/
アカデミーキャンプ on メディカル 第3期 〜震災後に命を守る〜 
http://academy-camp.org/?p=2322

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