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医療・福祉・介護の壁を乗り越えていく <かさまねっと活動報告>

公開日: : 最終更新日:2014/03/29

茨城県笠間市で、医療・福祉・介護に関する対話の場作りを行う「かさまねっと」。

今回のシンポジウムでは笠間市の公民館に、40名もの方々が集まりました。

本記事では、各パネリストの講演、グループワーク発表&パネルディスカッションを紹介します。

 

  • 笠間市シルバーリハビリ体操指導士会 会長 横倉正行氏

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シルバーリハビリ体操は高齢者の生活能力維持、介護予防を目的とした体操です。体操指導士会では「指導士の育成」を行っています。公民館や集落センター、施設など市内58カ所で、2012年度は延べ1万4700人が体操に参加しました。

この取り組みの面白いところは、基本的に60歳以上の方に絞って指導士を募集しているところです。

笠間市シルバーリハビリ体操の案内はこちら、シルバーリハビリ体操の説明はこちらです。

 

  • 茨城県立中央病院 院長 永井英雄氏

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私は大学の頃から外科医になろうと決めていました。でも外科医になるからこそ、内科的疾患、患者さんとの話のネタ、接し方の勉強も欠かしませんでした。

 

  • 全人的な視点を持つ外科医を目指してやってきました。

今、連携だとかよく言われています。急性期の病院、回復期の病院、慢性期の病院、施設や自宅で、患者さんのそれぞれのステージに合った場所を行き来することになります。例えばそれが7段階あったとしたら、その患者さんを7つにぶったぎってしまうことと捉えることもできます。

異なる分野がお互いに重なり合い、一人の人間を分断しないことを目指していくべきです。「重なり合う」とは少なくとも「関心を持つこと」です。手術をする人間が、在宅に興味を持つということです。

※下図は人口10万人に対する医師数の都道府県別ランキングです。茨城県はワースト2位です。

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私が茨城に来た理由をお話しします。茨城は医療資源が非常に乏しい県です。

  • ということは、茨城はフロンティアなんです。

最前線で何をしていくか。新しい取り組みを出来る場なんですよ。

 

  • 笠間市立病院 院長 石塚恒夫氏

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高血圧や認知症など「医療化」された病気に関する医療の役割って非常に小さいんです。それよりも普段の食生活や運動、介護の方がよっぽど大切だったりします。総合力ですね。
※「医療化」についてはこちらの記事参照。

その他に笠間市立病院の役割についても語ってくださいました。

 

  • 塙歯科医院 院長 塙章一氏

私は在宅歯科診療、フレンチレストランと糖尿病食の開発・提供、嚥下障害の方が食べやすい食形態の開発、手を上手く使うことの出来ない高齢者も使いやすい食器の開発など、歯科の枠に囚われない様々な活動をしてきました。

  • 一番意識していることは、食べる流れの中にバリアを作らないということです。

「食べる」という行為は口の中だけの問題ではありません。手足の問題、使う食器やスプーン、箸の問題、食事の見た目の問題など様々な要素が関わっています。

キーワードは「多職種」です。陶芸家や食生活改善運動の方々と恊働してきました。彼らと重なるところは5%だったり30%だったりしましたが、その限られた重なりの中で出来ることを考えてきたのです。

  • 「ゆるいつながり」が大切です。

 

  • かさまケアマネ会 会長 小森 聡氏

「かさまケアマネの会」について紹介してくださいました。介護支援員の質向上・ネットワーク作りを目的として、今年度設立したばかりの会です。

かさまケアマネ会を始めとして、分野や施設横断的なネットワーク作りが笠間のあちこちで始まっています。「かさまねっと」もそのような気流に乗り、多くの方々が参加するようになりました。

 

  • フロイデ総合在宅サポートセンター友部 管理者 室井 英雄氏

施設について紹介してくださいました。定員30名のデイサービスセンターで、介護予防サービスを提供しています。ここの特徴は一般の人が使えるカフェ「フライブルク」や地域交流スペースなど、施設内に地域に開かれた場を作ったことです。

ここの地域交流スペースでかさまねっとワークショップを開催したこともあります。普段はNPOの方や地域の住人が使ったりもしています。

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パネリスト達の講演は以上です。続いて参加者同士でのワークショップを開催しました。笠間の医療・福祉・介護における課題について、解決法を話し合いました。

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その後全体でグループごとに発表し、あるいはパネリストに対して質問を投げかけました。その中でのやりとりをいくつか紹介します。

 

  • 大腿骨骨折手術後の方がシルバーリハビリ体操に来ていて、どこまで運動していいのかわからないから教えて欲しい。

シルバーリハビリ体操の方からの質問です。この質問に対して、「怪我をした後の急性期のリハビリはリハビリ施設で行うべきです。シルバーリハビリ体操はあくまで予防です。」という意見や「シルバーリハビリ体操をやっている人々の中にセラピスト(PT)が混じることで、そういった日々の疑問に答えることが出来ます。これからは一般の方々の中にどう医療者が混じっていくかということが大切です。」という意見が出ました。

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  • 患者サイドからの痛い指摘。

県立中央病院での体験談が多数寄せられました。

「癌で病院にかかった時、手術をするしないで内科医師と外科医師がもめたため、手術日が決まらず困った。」

「溶連菌による咽頭炎で耳鼻科に入院して、治ったと言われ退院した一週間後に感染性新内膜炎で入院した。臓器ではなくもっと全体を診る医者がいて欲しい。耳鼻科入院中にもその徴候はあったのだから、全体を診ていれば見落とさなかったはずだ。」

「外来で医師に『何しにきたの?』と言われた。」

 

これらの意見に対して、県立中央病院 院長 永井英雄氏が答えました。

こういうことに関しては、一つ一つを具体的につぶしていくことが大切なんです。カルテを見直して、関わったスタッフ一人一人に問いかけていくと、「なんだ、そういうことだったのか」と大したことじゃないことが多いんです。全体に語りかけても意味がないんですね。最近よく注目される多職種連携もそうです。個々の事例を通して、それを一つずつしらみつぶしにつめていくことで、全体が少しずつ良くなっていくんです。

まあ何か病院で問題や不満があったら、院長に言ってみてください。そうしたら大抵なんとかなります。

 

  • 個々の事例を通して、全体が少しずつ良くなる。

ああ、その通りだなと思いました。

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ちなみに私はここのグループでワークショップを行いました。このグループは一般の方が多く、患者として病院で困ったことが多数語られていました。先の3つの事例は私が簡単にまとめたものですが、上に書いたように私が理解するまで、長い時間がかかりました。

  • 一般の方と医療者で、使う用語や医療への理解度に大きな大きなgapがある。

このことを痛感しました。彼女らが言っていることが何を示すのか、何の病気のことを言っているのか、最初はほとんど分かりませんでした。患者や家族は、病院の中ではあまり語りません。医師の前で“おりこうさん”になっている方が多いです。

今回は病院ではない“対話の場”だからこそ、こういう生の声をたくさん聞けました。一般の方と医療者で大きなgapがあることを知れた貴重な機会でした。

 

  • 一般の方と医療者で常識が違う。

施設に入っていた人が入院して、尿道カテーテルをつけたまま退院するとします。医療者からすれば“ただのくだ一本”ついただけですが、施設の人からすれば「大事だ!」となってしまうんです。そういう両者の常識の違いってすごく大きいんです。

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スタッフの集合写真です。

 

後日、参加者の一人からメールを頂いたのでその一部を紹介します。

二宮先生、永井院長はじめ、まだまだ医者は世間知らずだとか、傲慢だとか私たち介護の側にたたれたご意見を述べていただき、ありがたく思いました。
介護関係者の出席者等も医者との距離があるといった意見を述べていた方もいました。
ただし、私が感じたことは介護保険関係者(パネリスト・出席者)の医学的知識はどれくらいあるのか?
ということです。
 
 例えば、お年寄りの方は水分を多めに取りましょうとよく言いますが、なぜ必要なのか?その根拠を
はたしてどれくらいのケアマネが説明できるのか、疑問に思うのです。
 
人間の体内で水分を蓄えているところはどこですか?と職員に聞いてもほとんどの職員が分かって
いないのです。高齢者の夜間せん妄のほとんどが脱水からきていると知っているひとがどれ位いるのか。
 薬の話題にもなりましたが、高齢者は睡眠剤や睡眠導入剤を飲んでいる方も多いと思いますが、
その半減期はどのくらいなのかを知っている介護側の人間はどれくらいいるのか?それを知らずに、
施設の介護職員は、毎晩薬を飲ませているかもしれないのです。
 
 要は、ケアマネ初め介護側の人間(もちろん私もです)は、医学的知識をもっと勉強しなければいけない
と思うのです。そこで初めて、医療側の方達と対等に会話できると思っています。
 
 
メールをくださった方の介護への熱い想い、普段の努力が伝わってきました。「かさまねっと」の活動を続けていて、こういった熱い方々と出会えることが最高のご褒美です。

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