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福祉業界を変えたい人必見!ー医学生おすすめのボランティア施設

公開日: : 最終更新日:2014/04/29

帰り際の挨拶で涙がこぼれそうになった。

 

本当に感動した。

 

20年かけて富山型福祉をここまで大きくさせた2人が、1人のお看取りのために寝ずの当番をやっていた。

 

経営のトップが人のやりたがらない仕事を率先してやり続ける意志。

 

その行動に、なぜここが多くの人を巻き込み、国の制度まで変えてしまったのかが分かった。

 

 

誰もが来れる「このゆびとーまれ」


今回僕が見学してきた所は富山県にある福祉施設「このゆびとーまれ」だ。

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だれでもいつでもこのゆびとーまれという意味に由来している。

先進的な取り組みを行っている福祉施設は沢山あるが、このゆびとーまれが発祥の「富山型福祉」の特徴は、制度の垣根を越えて、誰でも受け入れていることだ。

高齢者も、子どもも、障害者もここで過ごすことができる。

なぜ僕がわざわざ富山まで見学に来たかと言うと、高齢化が進む日本において、おじいちゃんおばあちゃんが子供に伝えることがあり、子供が高齢者に笑顔を与えられる場があれば、持続循環するコミュニティになるのではないかと考えているからだ。
ここでは実際に20年前から行っているとのことであった。
 

本当にうまくいっているのか、どういう要点を抑えているのか、課題は何なのかを突き止めに来た。

 

このゆびとーまれが制度を変えた


驚いたことに、このゆびとーまれは国の制度まで変えていた。

誰でも来れるようにするためには、介護保険、児童福祉法、身体障害者福祉法などの法律が関わり、行政の縦割りで当初はどこも相手にしてもらえず、支援はなかった。
最初の1年間の平均利用者数は1.8人。スタッフは4人で、赤字が続いた。
 

それでも、誰でも来れる場所を作ろうという想いを貫き、人が集まるようになり、風向きが変わっていった。富山型として、富山県の事業が変わり、富山県は高齢者も児童も来れる特区となり、数々の賞も受賞。さらに特区だけであったのが全国展開となり、日本のどこでも同じことが行えるようになった。

 

現在、富山型福祉施設は県内に94箇所、全国に2000箇所も増えている。

 

 

現場で見たもの


このゆびとーまれには、他の福祉施設で感じたことのない時間が流れていた。

少し説明を受けたあと、僕は色んな人と話始め、簡単なボランティアをさせて頂いた。弱視の人と楽しく漫才のように掛けあったり、同じご飯を同じテーブルで食べて、隣のおばあちゃんが食べるのを手伝ったり、就労支援で働く人と食器を洗ったり、みんなでボードゲームしたり、昼過ぎはボーっと眠くなったりしていた。

 

まるで「家」みたいな時間。

 

既存の施設はリハビリや企画で忙しそうに時間が過ぎるが、ここではやることが全く決まっていない。送り迎えも各個人の生活リズムに合わせ、普段と変わらぬ時間をみんなで過ごす。だから、当たり前のように自分でトイレに行くし、テーブルを拭いたりもする。

夕方を過ぎると学校帰りの子どもたちがやってきて、また雰囲気が変わる。高齢者だけじゃなく、色んな人が来るから時間によって、日によって変化に富んでいる。

 

そこでは泣いたって、怒ったって、喜んだっていい。

 

1歳の子がいるだけで家中がパッと明るくなる。いつも気難しい顔をするおじいちゃんも、子供が1人いるだけで破顔する。

 

高齢者と子供の共生


高齢者と子供。障害者でも誰でも一緒にみることは可能だ。

子供も高齢者もお互いに気を配り合い、問題は全然起きていないようだった。その分保育士が介護もできる必要があったりと、スタッフに幅広いスキルが必要になる。

それはそれでやり甲斐があるということで、自分の仕事は全員の仕事だから、やってもらったことに対して「ありがとう」と言えるのだと1人のスタッフが教えてくれた。

 

上手く行っている要因


間違いなく言えるのは、建物じゃない。

このゆびとーまれが上手く行っている要因、子供も高齢者も楽しく過ごせている要因は人だ。

建築的な空間ではなく、心が作る空間。

誰でも来ていいよという心構えでやっているから、融通も効くし、ニーズを満たし、利用者もスタッフも集まる。その理念と事実に行政すら動く。

 

集まった若手スタッフたち


僕は1日では見きれない実際の辛いことなどを聞きたいと思って、同世代のスタッフを飲みに誘った。当日急に声をかけたのにみんなノリ良く来てくれ、大いに盛り上がった。

そこで聞けたそれぞれの熱い想い。奈良・愛知・東京からわざわざ学びに来ているだけあって、大事なものを持ち帰ろうと、代表たちの想いに応えようと、一生懸命だった。このゆびとーまれの良さや自分の考えを本音で語ってくれた。

聞きたいと思っていた辛い体験は、予想に反してなかった。むしろこぞって悪ガキやおばあちゃんたちの写真をこれもこれもと見せてくれたとき、愛情を持って本当に楽しくやっていることが伝わってきた。

 

福祉の未来


このゆびとーまれが選択肢の1つとなり、富山は福祉がとても充実していると言える。これを全国に広げることはできないのかと考えるのが自然だ。
制度としては全国的に子供も高齢者もみれるようになってはいるが、そのまま他の地域に持ち込むことは難しい。

例えば民間企業のサービスの差別化が激しい東京では、近年学校が放課後クラブや学童に乗り出してきても、場所があるだけでは満足できない。
付加価値として専門性やQOLを求める家族達が多数を占める。公的機関の対応が家族からしたら低サービスとなっており、社会問題になっている区もある。

 

しかし、個別ニーズに対応するシステムを構築することは絶対に不可能と言えるだろうか。

 

例えばセブンイレブンが仕入先は地域ごとで、地域特産が売られていたり、その日の天候に合わせて並ぶ品物が変わっている。
福祉業界においても理想を追求し、圧倒的クオリティの施設を作り、個別ニーズ対応すらシステム化することも可能ではなかろうか。
 

もしそれができれば、日本が先陣を切るアジア各国の高齢化へのイノベーションとなるだろう。世界は日本を注目しており、事実中国人の経営者がこのゆびとーまれに見学に来ていた。この問題を解決できれば、広く世界のためになることは必至だ。

  

全国の福祉を変えたいと考える人は是非「このゆびとーまれ」でのボランティアをお薦めする。大切なものをここで感じ取ることができる。既存の素晴らしい施設を知り、みなで力を合わせて新しい福祉の形を追求し、広めていけるように。

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