*

医療人がプロフェッショナルであるために読書が必要な理由

公開日: : 最終更新日:2014/04/29

元々読書は好きだったのですが、研修医になってからさらに好きになりました。

茨城に来て暇なので、空いた時間は読書にあてています。4月から読んだ本は200冊に届こうとしています。

 

そんな私がなぜ本を読むのか?

今回は「読書をする理由」について書いてみたいと思います。

 

HippocraticBench 

 

一言で述べれば

 

  • 医療人としてプロフェッショナルであるため。

 

これに尽きます。

そのためには、医療に限らず社会全般に関する様々なジャンルの本を読むことが求められます。

 

20120214_2692669

 

ドラッガーは言いました。

知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。そのためには自らの狭い専門知識を、知識の全領域の中に正しく位置づける必要がある。それは他の人が「何を必要とし」「何を見」「何を理解しているか」を理解することだ。

『プロフェッショナルの条件』より 一部改編

 

そう。

これこそが“これから”の医療に一番必要とされていることです。

プロフェッショナルとしての在り方。専門能力を持った自分の力を活かすためには、まず環境を整備しなければいけません。これだけ複雑化した社会においては自ら発言せずに己を社会に知ってもらうことは不可能です。

 

  • 自らの専門能力を活かすために己と社会を知り、自らの使い方を社会にアピールする。

 

今まではそんなことをする必要がなかった。勝手に患者達が病院にやってきて、自分たちは存分に医療者としての力を発揮することが出来てたんだ。

こんな意見に対して、どう反論したらいいでしょうか?

 

そのためには簡単に医療を取り巻く歴史の変化を考えてみてください。

医療の目的が”治療“から“QOL”、“死生観”など多様化してきた。

スクリーンショット 2014-02-21 21.29.11

 

これが全てを物語っています。背景には人口構造の変化(=高齢化)、高齢化や医療の発展に伴う疾患構造の変化(感染症➡生活習慣病)があります。

 

スクリーンショット 2014-02-21 21.30.58

 

“治療”を目的とした医療であれば、病院を核とした医療が非常に有効でした。でも今の医療には“治療”以上の様々なものが求められていて、“病院”あるいは“診療所”だけではそれらを達成するのは不可能です。

具体的には、人々の生活に予防を持ち込むこと、慢性的な病気との自宅での付き合い方、介護や福祉との連携、在宅医療の整備、地域資源の有効活用、限られた医療資源の賢い使い方、かつての地縁・血縁に代わる新たなコミュニティなどかつての“医療”の枠を超えたことが必要とされてます。

 

そういう状況だからこそ、医療者は自らが出来ること、役割に敏感にならなきゃいけない。社会を知り、己の立ち位置を知り、様々なプレイヤーと連携していく。連携する体制を整えることこそが、自分の専門能力を十分に発揮する鍵でもあるのです。

 230991_2134

 

一つ具体例を挙げましょう。

ある若い脳外科医がいました。とある地方の中規模病院に勤めています。彼は手術こそが自らの使命と信じていて、また強い自信を持っています。

ある時くも膜下出血の患者さんが運ばれてきて、無事手術に成功しました。でも重い障害が残っているため、今すぐは家に帰ることが出来ません。数ヶ月のリハビリを続けて、家族や介護のサポートが整ってようやく自宅に帰れるかどうかというところです。でもこの地域にはリハビリ病院が不足しています。介護体制も脆弱です。その患者さんはいつまでたっても退院することが出来ません。

 images-2

 

同じような患者さんが病棟内にたくさんいます。とうとう脳外科のベッドが一杯になってしまって、新しい急患を受け入れることが出来なくなりました。彼は手術の腕を活かすことが出来ず、悶々とした日々を送っています。

そして誰よりも、脳外科手術を必要としている患者さんたちが一番の被害者です。その病院に辿り着いて手術を受けることができません。

 

その脳外科医は次にどういうアクションに出るのか?

専門能力を持った医療者が皆外に飛び出ろとは言いません。でも医療者が専門能力を活かすためには、誰かが病院の中から社会に飛び出て環境づくりに参画しなければいけません。

 

 

私自身は病院の中から社会に飛び出す医療者でありたい。

そのために社会を知り、学ぶための有益なツールの一つが読書です。

 

でも、

病院の中に閉じこもるプロフェッショナルこそ、

読書を通じて外の世界を知って欲しい。

 

忙しい彼らにとって、実際に外に出なくても社会を知れる数少ない手段が読書です。

外を知り、それでもなお内に閉じこもって鍛錬する人こそ、真のプロフェッショナルに至ることが出来ると信じています。

 

 ☆blog『医療系読書人』で良かった本を紹介しています。良かったら是非ご覧ください!

スクリーンショット 2014-02-21 21.26.18

関連記事

cat

STORYS.jpがめちゃめちゃ面白い!という話。

皆さんはSTORYS.jpをご存知でしょうか。 「誰もが世界でたった一つの人生のストーリーを持ってい

記事を読む

IMG_0141

アフリカ旅で感じた一人の時間について思うこと

M-Laboライターのokabeさんが以前「とてもシンプルだった。1人でいたい時がある理由。」という

記事を読む

9f4c6bf39938d3a3e0ac1f549fc85350

「2000の歌声でつくるバーチャル合唱団」

TEDのプレゼンの中で、M-Laboのテーマに通じる動画を紹介したいと思います。  

記事を読む

Meg Jay

『すべての20代が知っておくべきこと』

今週は、今年一番人気があったTEDのスピーチを紹介します。 テーマは『すべての20代が知ってお

記事を読む

addiction-71575_1280

薬学生が知っておくべき医薬品業界の「現状」とは?

そろそろ2016年卒の学生さんの就職活動のシーズンを迎えますが、これから就職活動を始められる薬学生の

記事を読む

WS000088

記憶を思い込む事の怖さ-TED「記憶のフィクション性」エリザベス・ロフタス

どうも、厄年を迎えて3ヶ月の中途絶える事なく次と次と不運が訪れる森です。今度厄払いに行きます。 &

記事を読む

Lady-Gaga-ARTPOP

レディー・ガガに学ぶ!ソーシャルビジネス戦略とは?

 LADY GAGAってどんな人? タイトルにえっ?と思った方。レディー・ガガという人物はご存

記事を読む

give-take1

『Take』捉え方を変えて、本当の『Give and Take』の形を考える

今日の記事のテーマは 本当の『Give and Take』の形はどうあるべきか?  

記事を読む

7e00bc4f4648a99f715ccbc1c917ecde_s

「母親だから感謝しなきゃ」の危険性

 きむらえりですこんばんは。 今日は母の日ということで、私のFacebookには例年通り「お母さん

記事を読む

雪の重みでつぶれたぶどう棚

医学生の私が今日も走る理由

ある雑誌に「あなたはどうして今日も走る?」という記事がありました。別に何かに追われているわけじゃない

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑