*

アフリカ旅で感じた一人の時間について思うこと

公開日: : 最終更新日:2014/12/28

M-Laboライターのokabeさんが以前「とてもシンプルだった。1人でいたい時がある理由。」というテーマの記事を書かれていた。「1人の時間」、これに関して思うところ・自身の経験と被るところがあるので、少し書き記してみたい。

 

元来、僕は1人でいるのが割に好きな質だ。単純に「気疲れしない」というなんとな〜くな理由からだったり、okabeさんの言うような「思考の深層を探る」機会としてだったり、時折ふっと人から離れたい衝動を覚える。結果から見ればその衝動が少なからず「休学×旅」という選択に繋がった部分もあるだろうと今は思う。

 

 

1人×旅での「自分の時間」

IMG_0141

 いわゆる「1人旅」を一般化する気はないが、「旅」という自身にとっての非日常は、往々にして「自分自身と向き合う時間」を提供してくれる。
 
もちろん、異文化に触れることで考えさせられることや、常識というものが如何に脆いものであるかだとか、そういった類いの比較による発見を否応なしにさせられることは多いのだが、僕の場合それと同じくらいに「漠然と考えを巡らす時間」というのが多かった。
 
変わらない景色をひた走る長距離バスの移動、誰もいない安宿の屋上で1人ぼっちだった時、地面に寝転がってぼんやりと雲を眺めていた時...。
 
そんな時は大抵、目の前の景色をぼんやり眺めながら、漠然と考えを巡らせ思いを馳せていた。真面目に今後の人生設計をすることもあれば、結婚式に誰を呼ぼうなんていう俗な妄想に勤しむ日もあった。
 
自分が何を好んで何を望むのか、そんなシンプルな問いかけから、どう生きて何を成してどう死ぬのかなんていう哲学チックな思索を繰り返した日々は、間違いなく「自己との対話」の連続で、実に贅沢な時間だった。
 
 
 

サハラ砂漠の真ん中で感じた「1人と独り」

IMG_0444
 スーダンというアフリカ北部に位置する国にいた時のこと。そこまでの道中で知り合い意気投合した2人の旅人と僕は行動していた。
 
美しい夕日を眺めその感想を共有したり、他愛もない話で夜な夜な盛り上がったり、彼らと行動するのはスゴく楽しかったのだが、ある日突然「1人になりたい」衝動が訪れた。
 
結局、次の街で再び落ち合う約束を交わし、僕は再びひとりバックパックを担ぎ、バスやタクシーを乗り継いでベジラウィヤと呼ばれる遺跡群に到着した。
半ば朽ち果て廃墟と化した大小新旧様々なピラミッドが、何もないサハラ砂漠の真ん中にポツンと佇んでおり、村ひとつ見当らない色気ない景色が広がっていた。
 
中継した町で水と食料を買い込んでいた僕は、この砂漠のド真ん中で野宿をすることに決めた。一晩明けて、テントの扉を開けば、眼前の広大な砂漠に聳え立つ遺跡群が朝日を受けて煌めいているに違いない、そんな算段だった。
 
 
無音の静寂の中ひとりぼっちというのは、時間の感覚を麻痺させる。1時間がものすごく長く感じられ、世界から取り残されてしまったか、はたまた世界を取り残してきてしまったかなどと真剣に考え始めるほど、時間はゆっくり流れた。
 
夕日がじれったい程ゆっくりと地平線に沈み、東の空が黒ずみ始め、恐ろしいほど静かに夜は来た。
この夜は旅中、あるいは人生で一番の星空を見た。全天を瞬くことを止めない星々が覆い隠し、天の川は肉眼でくっきり見えるほどに輝きを増し、完全な静寂の中、その美しさはいっそう鋭く感じられ、なんだか泣き出しそうになったのを今でも覚えている。
 
IMG_0126
 
その夜、僕が一番強く感じたのは「一人になれて良かった」ではなく「自分は独りじゃなかったんだな」ということだった。
 
「一人がいいと思えるのは、本当は一人じゃないときだけ」
好きな小説の一節だが、この時ほど理解したことはなかった。一人でいること、それすらもが誰かと一緒にいることの延長戦上だ、とシンプルに腑に落ちた。
 
また、大好きな映画(小説)「into the wild」の一節にもこんな言葉があった。
 
「happiness is only real when shared(幸せは誰かと一緒にいて初めて味わえる)」
 
他者との関わり合いの輪から完全に解脱することはできない。だから歩んでゆけるし、だから一人にだってなれる。そう感じた。
 
 
 

まとめ 僕が思う「ひとり」の時間

 物理的に完全な「ひとり」になってみて、自分は自分が思っていたほど「ひとり」でないことを、あの星降る夜に教わった。そして同時に、「ひとり」でないことに甘えてはいけないと強く感じた。

 

人との対話の中で生まれる価値や、理解や、それによる思考の整理は間違いなくある。が、自分の内で真に消化し吸収を終え血肉と変える、そんな時間をそれと混同してはならないのではないか。

 

思うに、人からもらった答えはフェイクだ。本物に見えても、外にあるものはいつか枯れ、朽ち、果てる。
内側にある芯を探す作業、生きてゆく上で何事においても大事であり、それを行える「ひとり」の時間を安心して持てる幸せを噛み締めなければならない、そう思った。

 

旅の経験を過度に解釈するつもりは毛頭ないが、僕は人の生は「ひとり」であることだと思う。
死ぬ時は当然ひとりで旅立ち、日々において関わる他者とも超えることのない一線は存在する。そんな孤独な一人街道においても、強烈なまでの他者に安らぎを覚える人の情というのは、なんとも愛おしい。

 

学校に通い、バイトや部活に勤しみ、スマホを使っていつでも他人とアクセスでき、あるいは恋人と睦言を交わし合い、そんな忙殺される毎日の中で完全に「ひとり」になれる瞬間というのは意外に少ない。
学生の今ですらそうなのだから、医療者として社会に出てからは尚更だろう。思考の深化や自己との対話、そんな己を知る作業に時間を割くのもまた、他者の倫理に触れることの多い医療系学生にとって必要な青春なのではないかと思う。

 

関連記事

fw088_l

ブログで自分を発信すると絶対得する3つの理由 〜後半〜 

さて後半です。  前半では書く事で開かれる人生について触れました。 「ブログで自分を発信

記事を読む

did-logo_s

暗闇のソーシャルエンターテインメント|ダイアログ・イン・ザ・ダークを知っていますか?

あなたは、目以外のなにかで、ものをみたことがありますか? 鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、

記事を読む

雪の重みでつぶれたぶどう棚

医学生の私が今日も走る理由

ある雑誌に「あなたはどうして今日も走る?」という記事がありました。別に何かに追われているわけじゃない

記事を読む

circle_shelf

元読書嫌いの医学生が本に目覚めた3つの理由

 『本は真面目ちゃんしかよまねぇーよ』と読書をバカにして  大学二年生まで記憶に乗っている読んだ本

記事を読む

13

テクノロジーの進化によって、仕事の在り方・私達の生活が変わる

以前、テクノロジーの世界が私達にもたらす影響の話をさせて頂きました。 →http://mlabo.

記事を読む

alone-in-town_00443075-1024x576

とてもシンプルだった。1人でいたい時がある理由。

  なんで1人でいたい時があるんだろう?ただの生物なのに。   生物学

記事を読む

9f4c6bf39938d3a3e0ac1f549fc85350

「2000の歌声でつくるバーチャル合唱団」

TEDのプレゼンの中で、M-Laboのテーマに通じる動画を紹介したいと思います。  

記事を読む

IMG_2343

看護学部の授業で習うコミュニケーション技法を1000人に試してみた

皆様初めまして。看護学部3年の木村映里と申します。 元キャバ嬢です。19歳の時には銀座のクラブ

記事を読む

E8B5A4E381B2E38192

“医療”を定義してみようか

 『医療の再定義』が必要な時代が到来している。    このような認識を持ち、真摯に向き

記事を読む

cat

STORYS.jpがめちゃめちゃ面白い!という話。

皆さんはSTORYS.jpをご存知でしょうか。 「誰もが世界でたった一つの人生のストーリーを持ってい

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑