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医学生が患者になって気付いた事

公開日: : 最終更新日:2015/05/30

こんばんは。現在、気合と勢いしか取り柄がない森です。そんな私はベットの上で包帯をグルグル巻きにして一日中横になっております。

実は先日部活の練習中に膝を怪我をしたからです。

本日は、ベットの横になりながらも出来るだけ体をねじり枕下のPCに打ち込んだ『医学生が救急外来を受診した話』を紹介しようと思います。

テーマは『医療現場の優しい空間』 。

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 病院に連れてかないで!

救急受診をする。部活のメンバーがそう勧める中、私は最初それを拒否していました。理由は、自分が医療者側で救急のバイトをしている時に3割くらいの患者さんに対して思ってしまう等身大の気持ちがあったからです。

『こんなんで来てしまうのか・・・』

研修医が当直する際、日勤+当直+日勤という形が取られます。36時間連続で業務を行います。また人手不足の病院の救急の看護師さんで三交代の所は25-9時の夜勤して日勤中は休みでまた17-25時の準夜勤をこなさなければいけない病院もあるとの事。

私にとって研修医は今までお世話になった先輩が所属する立場であり、看護師は先輩から同級生までいるが所属する立場です。今まで学生で一緒に楽しくワイワイやったメンバーが疲弊しきってる姿を見て、寂しい気持ちになった。その感情は自分の等身大の気持ちを生みました。

そんな事をいつも思ってしまう僕はいざ自分が患者になった時、救急病院に行く事にかなり気が引けた。

もし僕が、ここで病院に行ってしまったら、僕に時間を使ってしまう。夜間の救急は忙しい。そしてそれと同時に『こんなんで来ないでよ』と思われる。しかも僕は医学生。自分の状態はだいだい分かる。どう考えても命に別状がない。『医学生なら来なくても大丈夫な事くらい分かるだろ。』こう思われるのが嫌過ぎたのだ。

けど、同時に思った事がある。

凄い不安・・・。

以前一度同じ所を怪我しててその時の医師に言われた『大げさかもしれんけど、次やったら下手したらスポーツ出来なくなるかもよ』という言葉。

結局友人の後押しもあって、受診する事に。

 

 病院で感じた『優しい空間』

病院はかなり忙しそうだった。

病院に着いて待ってる時もスタッフが前を通る度に顔合わせられず、帰ろうかなと何度も思った。申し訳なかった。長い待ち時間の後名前を呼ばれた。部屋に入る。問診が始まった。衝撃的だった。

信じられないくらい優しかったのである。

医師と看護師の言葉遣い、笑顔、気遣い、全てが優しかった。あまりに感動してしまって何回も感謝の言葉を言った。わずか数分で不安はとれ、結局松葉杖で2週間安静くらいで済む軽症だった。

少し考えてみた・・・。この救急現場での『優しい空間』はなんなんだろう。

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医療現場に存在する『優しい空間』とは?

今回の現場には『優しい医療者』と『感謝する患者』(自分でいうのはおかしいが)がいた。今回自分が患者になって医療者の優しさを知ったと同時に、今まで救急現場で患者さんに『ありがとうございます』と言われる喜びも知っている。(僕はただ手伝いをしているだけなのに)。これは今回だけじゃない。実習の時に何回か医療っていいなと思うワンシーンがある。その時は常に

医療者の優しさ』『患者さんの感謝』がその空間に溢れかえってる

逆に僕が医療者の立場の時、患者さんをみてコンビニ受診だろこれと思った時、酔っぱらいが来た時、一気になんか冷めてしまっていた。勿論、優しく声かけをしようと思ったりするけど、心の奥底では冷めきっていた。

僕が患者の立場の時、僕の前の患者さんは何かをしてもらっても、一切感謝を言わない患者さんだった。勿論、廊下での出来事で本当は言っていたかもしれない。

けど、なんか態度が”俺には医療を受ける権利がある”という感じの態度に僕には見えてしまった。(そして自分も医療の内側を知らなかったら同じような態度をとるような人間なんだと思う。コンビニで店員さんにありがとうを言えない時も多いし)

『医療者の優しさ』と『患者さんの感謝』どちらを欠いても『優しい空間』は生まれないと思った。

言い換えると『 医療者の優しさ』のおかげと、『患者さんの感謝』のおかげで『優しい空間』が生まれている。

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これからの医療と『優しい空間』

今後、医療現場は少子高齢化でもっともっと過酷になると思う。色んな対策があるかもしれんが、医療者一人当たりの仕事量は増えると思う。実際一番のブラック企業は病院であると言われるようになってきている。この問題をどう解決するのか?

効率化をするのもいい、予防も大事だ。絶対やるべきだ。労働条件も大切。けど、僕はもっともっと大事な事がある思う。

医療者のモチベーションだ。

医療者はなんで医療者になったのか?

それは「自分が患者になった時救われた」、「誰かのためになりたい」、「困ってる人を安心させたい」、「感謝されたい」。多くの医療系を志す若い人はそこに憧れて大学に入ってきたんだと思う。なのに、『訴訟』とか『医療界の人間関係』とか『専門外』などの問題で患者さんを受け入れにくい事も多々ある。

医療者が一番モチベーションが上がる事実。それは当直料金が更に1万あがる事でもなく、一時間睡眠時間が増える事でもなく

 医療現場が『優しい空間』である事。

患者さんは何を求めているのか?

確かに第一は病気を治す事だ。けど、その次にくるのは不安を解消する事だ。コンビニ受診問題とかあるけど、正直患者さんになると軽症か重症かなんて分からない。

確かにコンビニ受診を減らす事は大事だけど、それより大事なのは不安で病院に行った結果コンビニ受診であっても、そこに『医療者の優しさ』と『患者の感謝』があったら、そんな血相変えてコンビニ受診はやめてくれなんて言う医療者はあんまいないんじゃないかな。

昔、患者さんが元気になった後、病院に感謝の意味を込めてお菓子をもってきたりする文化がありました。医療者はそれを食べて患者さんの感謝を感じ、また違う人に優しくできていたのではないかなとか思ったりするんです。
今では患者さんから、そういった類いの物をもらう事を大学病院とかでは禁止されています。勿論、正当な理由があるのは分かりますが、別にもらえばいいんじゃないと思います。
このように目に見えて感謝される事が医療者が過酷な労働を背負って多くの人を助けるモチベーションにもなると思います。

医療者は、自分の専門の病気を治す。患者さんは権利として医療を使う。それはそれでいいとは思うのですが、それに

医療者の『優しさ』と患者さんの『感謝』という二つの非科学的な要素が加わる事

の秘めた力は大きいんじゃないかな。と思うのであります。

 

『優しい空間』に向けて動く人達

県立柏原病院の例である。2007年にこの病院では小児科医が一人になってしまった。その一人が過酷さに耐えきれなくなって辞任を表明、閉鎖の危機が起きた。そこで座談会が開かれた。当初母親達から不満めいた声が続く中、ある母親が体験談を話す。

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  喘息発作の子どもを連れて夜間救急を受診した。
  夜8時に病院に行くと、すでに30人ほどが待っていた。
  やっと診察の順番が回ってきたのが午前2時。
  入院が決まり病室に通されたのは明け方の4時だった。
  そのまま親子で寝てしまったが、
  翌朝目を覚ますと「処置しておきました」と書かれた置手紙がベッドサイドにあった。
  そして、翌日も普段どおりに診療を行う先生を見たとき、
  「先生、寝てないんだ」ということに気が付いた。

  「うちの子の病気のこと考えたら、
柏原病院の小児科がなくなるんはほんまに困るんや・・・
でも、先生のあんな姿見とったら『辞めんといて』とは、よう言わん・・・」

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この話を聞いて、それまで不平不満を口にして様子はガラリと変わりました。医師の過酷な勤務実態、またその一因に患者の無理解による「コンビニ受診」があるとし署名活動を始めました。この運動のHPにはこのように記されてます。

お医者さんの増員を願うのではなく、今いるお医者さんを大切にする地域づくりを進めていこうと決意したのです。

現在、柏原病院の小児科外来のポストには「ありがとうポスト」が設置されているそうです。

♯詳しくはこちらへ
『子供を守ろう お医者さんを守ろう 県立柏原病院小児科を守る会』

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僕も一年半後には医療者になります。そして過酷な労働条件の中に放りこまれる事もあるでしょう。けど、中には『優しい空間』のために頑張ってる人がいる。どうせ過酷なもんは過酷なんだから、医療者側から『優しさ』を医療現場で提供する事を理想に働きなと、今ベットの上で包帯をぐるぐる巻きにしながら考えているのです。

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