*

自分が患者になるとは思ってもいなかった その2

公開日: : 最終更新日:2014/02/13

決意の一歩

その1(http://mlabo.net/wp/2013/11/565/)で書いたように、とうとう私は心療内科を受診することに決めた。しかし、決意はしたもののなかなか一歩が踏み出せない。家族にすら偏見を持たれるのでは・・・という恐怖とくだらない変なプライド(?)

相変わらず生活は変わらない。ほとんど眠れない夜に恐怖に負ける食欲。そして突然襲ってくる辛い光景、涙。周りからは弱い人と思われるかもしれない。私もいままで別に辛かったり悲しい思いをしなかったわけではないし、そういう時もなるべく周りに出さないように自分で消化できるようにしていた。

でも、今回ばかりは無理だった。あまりにも耐性がなかった。

受診を決意してからかれこれ一ヶ月経ってしまった。

そんな相変わらず迎えたある朝、ぼーーっとした頭で授業を聞いていた。

うっ・・・・・・・・・。また出てきた・・・・嫌な光景・・・。耐えるしかない・・・・

脈拍が上がってくる。なんか具合悪い。段々視界が黒紫色になっていき、先生の声が遠のいていく。

「あっ、せんせ・・・・・」

それから全く覚えていない。次に覚えているのは病院の白いベットの上だった。

「おうおう、大丈夫かい?びっくりした??」

医師が声をかけてくださった。

ああ、私ったら本当になにやっているんだろう。心身病める人の少しでも力になりたいと、医学の道を選んだのに、私ったら・・・・。

情けなく、むなしい気持ちになった。

「ねえ、この状態で来年度大丈夫?ちょっとお休みしたら??」

休学・・・・・・・

その言葉が頭によぎった。でも・・・・。いつも一緒に笑ったり、協力しあう同級生とどうしても一緒に卒業したい・・・!!

(このままだと周りにももっと迷惑をかけることになる。よし・・本来あるべき状態に絶対戻ってみせる・・・!!)

 

想定外の雰囲気

数日後、私は心療内科のクリニックのドアの前にいた。どんな人がいるんだろう・・・・。変な目で見られないかな・・・。

息をのんでドアを開ける。

あの病院のようなアルコール消毒のようなニオイはせず、フローラルないいにおいがした。

なんか、少しホッとした。

しかも待合室には多種大量の飴が。こういう小さな気配りが嬉しかった。

受付をすまして椅子に座り、一息ついて周りを見る。どういう人がきているのだろうか・・・。

それが全くほかの科と変わらないのだ。サラリーマンや多少ご年配の方、主婦の方など・・・・。皆、静かに読書などをしていた。

正直、びっくりした。もっと険悪な雰囲気だろうと思っていたから。

中に私と同じくらいの年代の女性がいた。思わず凝視してしまった。向こうが気づいて目が合う。まずい、にらまれるかも・・・・。と思ったら、向こうがにこっとほほえんでくれた。あわててニコリと返す。なんだか気持ちがほっこりしたが、その人のほほえんでいる目にはなんだか寂しさのようなものが感じられた。

(ああ、この人も全然元気そうに見えるけど、傷ついているんだろうな。)

そうこうしているうちに名前が呼ばれた。部屋に入ると雰囲気は暖かかった。

話の内容はここではかなり私的になってしまうために割愛させていただくが、今の状態、症状などを話し合った。

その結果、薬物療法をすることになった。薬剤の名前はここでは言わないが、ようするに現状をよくするための薬である。

これで少しはよくなるだろう・・・・。そう思った。しかし・・・・

 

起きれない!!眠い・・・・・

薬物療法をはじめることになり、薬を飲むことになった。

そしたらなんとぐっすり眠れたのである!!!

やった!!これでよくなる・・・!!と思ったが・・・・

今度は起きているのが辛い。眠すぎる。眠すぎて辛い。

授業中はなかなか目が開けられず、ものすごい睡魔に襲われた。小テストでは寝てしまい0点をとり、帰りの電車ではぐっすり寝てしまい、乗り過ごして終点までいってしまう始末。

(なにこれ・・・。前のも辛かったけど、こっちも辛い・・・。)

ご飯を食べているときも、眠すぎて箸を落としてしまう。

前までは眠れなくて、今度は起きていられない。

この極端な状態に困惑した。

正直、「医者は薬しかだせないのか・・・・・・!!!???」とまで思った。

その後の診察で量を変えたりして、なんとか薬ありではあるが正常なホメオスタシスを取り戻せた。

しかし、薬の効き目には本当に驚かされた。薬を出しときゃ患者は勝手に治るなんていう考えはもってのほかだと思った。

 

涙の夕食

薬物療法やカウンセリングを行い、次第にほんの少しずつではあったが食欲も取り戻し、睡眠もそこそことれるようになっていった。次第に薬の量を減らしていき、約30日で薬を卒業することができた。

「かなり良くなりましたね。これからはまた辛くなったら来てください。」

やっと定期的に行くことを卒業できる日がきた。体重も増え、体力もそこそこ治った。あの急に思い出すフラッシュバックも回数が減った。

家に帰ると親が夕食を作って待っていてくれた。いつもと変わらないごく普通の夕食。しかし、私には本当に半年ぐらいぶりであった。いままで高カロリーだとかいって怖くて口にできなかったからだ。

口に入れようとしたとき、また不安がよぎる。

(あ、・・・また太るかも・・・。でもそれは違う。怖がる必要は無い。体重が増えたのも、健康に戻りつつある証拠だ!!)

そう言い聞かせて口に運んだ。

おいしい

箸がどんどん進んだ。

でも、まさか親が作る何気ないご飯を食べている途中で涙が出るとは思ってもいなかった。自然と涙が出てきてしまった。

本当に家族に迷惑をかけた、とそのときやっと思った。それまで自分のことで精一杯すぎて、そんなこと考えられなかった。少しは心に余裕ができた。よかった、前進した証拠だと思った。

 

おわりに

「患者とは心に串が刺さっている人である」

漢字の作りを見てなるほどと思った。

「患者にとって嬉しいことはなにか?それは{忘却}である。つまり{あの病気になっていたな}と思えることである。」

「人間は生まれた時から致死率は100%である。だから死ぬことは一回しかない。だからそれを語れる人はいない。しかし、病気については語れる人はたくさんいる。」

「医師、看護師、患者、この三つの言葉を三点セットのように使い、まるで{患者}という{職業}があるような言い方をする人がいる。けれどもそれはいかがなものか。なにせ患者はすべての人がなる可能性があるのだから。」

この言葉を聞いてどう思うだろうか??

 

今、私は運動も再開でき本当に毎日楽しく過ごしている。そして、支えてくれた家族、友人、先生に本当に感謝している。      

                           

 

 

 

 

 

関連記事

yamadamachi

震災当日、僕は屋久島にいた。10日後、被災地を歩いていた。

震災当日、皆さんはどこにいましたか? 僕は、2011/3/11。所属するワンダーフォーゲル部の

記事を読む

IMG_9460

呪術師と惚れ薬

なんだか売れないラノベのタイトルのようだが、アフリカの小国・マラウィでの出来事である。   読者

記事を読む

image

Cycling Africa〜DAY 5and6〜

医学生のアフリカ旅|旅の始まりはこちらへ「1年間休学させてください」 ナミビアから南アフリカ共和国

記事を読む

okinawa

自分が患者になるとは思ってもいなかった。その1

患者といっても? 皆さんは患者になったことはあるだろうか?多分ほとんどの人がなったことがあるだろう

記事を読む

IMG_1415

カフェ起業をして感じた、お金を使わない労力が生む秘めた力

僕は、4年生の時にカフェを創設、運営しておりました。今日は学生の力を集結させて生まれたこの店の一つの

記事を読む

IMG_6514

キベラスラム訪問記

スーダン、エチオピアでおよそ二ヶ月過ごした後、41時間バスに乗り続け、赤道を越え、ケニアに辿り着いた

記事を読む

IMG_6856

キスム訪問記

ケニアの首都ナイロビにかれこれ計40日近く滞在、というバックパッカーとは思えぬ長期滞在生活終盤戦のこ

記事を読む

12106_10151191965802857_2094287744_n

Cycling Africa 〜DAY 2〜

 医学生のアフリカ旅|旅の始まりはこちらへ「1年間休学させてください」ナミビアから南アフリカ共和国ま

記事を読む

17884794

ドラクエから学ぶキャリア術

この度、ライターに加えて頂きました。 感護師の坪田康佑です。 社会と医療を繋げるM-Laboさんだ

記事を読む

image

Cycling Africa 〜DAY 4〜

医学生のアフリカ旅|旅の始まりはこちらへ「1年間休学させてください」 ナミビアから南アフリカ共和国

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑