*

渋谷健司先生へのインタビューから考える「リーダーシップとは何か」

公開日: : 最終更新日:2014/03/29

先日、医学書院の方に、ハーバード大やWHOなどさまざまなフィールドでご活躍されてきた渋谷健司先生(東京大学医学系研究科 国際保健政策学教室 教授) にインタビューする機会をいただきました。

※記事:「この先生に会いたい!!渋谷健司氏に聞く」

インタビュアーとして、渋谷先生が繰り返し強調されていた「リーダーシップ」について、先生の話を踏まえ

・「日本」がとるべきリーダーシップ

・「個人」がとるべきリーダーシップ

という2つの観点から簡単にもう一度整理してみます。

「日本」がとるべきリーダーシップ

日本は医療技術の進歩もあり、世界有数の長寿国です。(H24時点で女性の平均寿命は世界一、男性は5位)一方で、「高齢化率」は世界で一位、少子化も年々深刻になっているなど、人口分布において大きな課題を抱え、海外メディアでも「日本=高齢化社会」というイメージが定着しています。

確かに、日本は少子化、高齢化だけでなく財政赤字やエネルギー、経済などにおいて課題は山積みです。
しかし、課題の”先進国”という立場だからこそ、世界に先駆けて課題に取組み、その解決策を提示すれば、グローバルなフィールドにおいて日本がリーダーシップを発揮しうると考えることもできます。

余談ですが、コンゴで医療支援の為に一から病院をつくる活動をしていたという、知り合いの医学部生も
「コンゴのいまの医療を良くすることを考える上で、日本の医療モデルが参考になる。コンゴを良くしたいと思うからこそ、日本の医療についてもっと勉強したい。」
と話していました。
このように、今国内での取り組みに力を入れることが、将来グローバル・ヘルスに貢献することにつながる、とも言えそうです。

グローバル・ヘルスにおいて日本がリーダーとなる鍵は「3つのP」

・3つのP=Prioritization(選択と集中)・Partnership(連携)Performance(成果)

・もう1つPを加えるとするならばPersonnel(人材)、結局最後は人。

・今国際的には,お金があるから何かをするのではなく,良いアイデアと人がいるから何かが起こり,そこに海外の民間企業・財団問わずサポートがつく流れがある。

・アイデアの実現には,1つの国や1つの機関ではできないからパートナーシップを組む。そこでリーダーシップが問われてくる。

日本は何か新しいことを始めようとするとすぐ「補助金」など予算の獲得に躍起になりがちのようですが、まずはそもそものアイデアを何か、それを実行する戦略・組織をどうするか、どういった人材教育をするかに重きを置くことの方が先に考えるべきことですね。

「個人」がとるべきリーダーシップ

渋谷先生は、ご自身ではどのようにリーダーシップを身につけられたのか、またど普段どのようなことを意識されているのか伺ったところ、次のようにおっしゃっていました。

・大学のクラブもそうだし,WHO勤務時代,多国籍の職員がたくさんいるなかで,責任ある仕事を持たされたことが大きい。

・近くにビジネススクールがあったので,「エグゼクティブ・エデュケーション」プログラムなども取った。

・国外では,組織そのものではなく,国籍や性別・年齢等にかかわらず一人の人間を評価して投資するような風土がある。

・ゲイツ財団や『ランセット』編集長とは,個人的信頼関係があったからこそ今の仕事にもつながっている。

・プロとして尊敬し合う,いい意味で緊張感のある人間関係というのが大事。

・自分も他人から見て価値がある人間であろうとする努力を,日々しなくてはいけない。

プロとしてあるために日々努力をされている渋谷先生の一つ一つの言葉から、強烈なリーダーシップを感じました。

終わりに

つい先日このM-Labo(エムラボ)というサイトを有志の友人と共に立ち上げました。実は、恥ずかしながらこれまで生徒会長や部活のキャプテンなど大きな組織のリーダーを務めたことがありません。どちらかというと、逃げてきたというのが本音です。

しかし、いまはM-Laboの発起人として否応なしに「リーダーシップ」をとらなければいけないポジションとなってしまいました。立場上、最近は特にこれまでほとんど接する機会のなかった他業界の社会人の方とお話しさせていただく機会が多く、毎回強烈な刺激を受けるのですが、その中でも自分の軸となるものを見失わず、自分なりのリーダーシップのスタイルを見つけられたらと思います。

また、M-Labo自体もできるだけトップダウン型組織ではなく、僕らの想いに共感してくれたメンバーみんながリーダーシップを発揮しやすい組織・プラットホームになるよう努力していきたいです。

 

リーダーシップ白熱教室が放送中(ハーバード大学ロナルド・ハイフェッツ教授)

関連記事

75999_07-01kobuchi

『別に学生の内に何かを成し遂げる必要なんて無い』

最近、学生生活について書く事が多く、周りの方とよく学生生活について話す事が多くなりました。その中でと

記事を読む

模擬選挙

自分の意見に自信を持つには?~模擬選挙と、看護の授業で学ぶクリティカルシンキングから考える~

※この記事は、インタビュー記事 自分の意見を持つことの大切さを子供たちに伝えたいー模擬選挙推進ネット

記事を読む

5798806497_8876301f52_z

編集長が語る、M-Laboへの想い

(11月5日初公開 1月26日加筆) 一番最初に、ある意味言いだしっぺでこのM-Laboというメデ

記事を読む

雪の重みでつぶれたぶどう棚

医学生の私が今日も走る理由

ある雑誌に「あなたはどうして今日も走る?」という記事がありました。別に何かに追われているわけじゃない

記事を読む

images-13

医療人がプロフェッショナルであるために読書が必要な理由

元々読書は好きだったのですが、研修医になってからさらに好きになりました。 茨城に来て暇なので、空い

記事を読む

男女共同参画

本当の男女平等ってなんだろう?その2

『本当の男女平等ってなんだろう?』 http://mlabo.net/wp/2014/01/126

記事を読む

色鉛筆

医療系学生同士が交流すべき3つの理由

 きむらえりですこんにちは。お客様から「上下にプレスしたパンダ」と評判です。顔が。  

記事を読む

cimg4849

勉強さえできれば人生勝ち組?

小学生のころ、学年 No.1 の人気者だったあの人のこと、覚えてますか? それ、「走るのが一番速か

記事を読む

images-2

子育てと仕事の両立

今の日本社会における最大の課題は少子化だ。 少子化に高齢化が加わることで、人口構成のアンバラン

記事を読む

boston

「一流の人に共通する目標設定術」   -バウンダリレスドクターを目指して-

明けましておめでとうございます、ハーバード大学におります猪俣武範です。(写真はボストンの夜景

記事を読む

IMG_3141
医師に英語は必要か?

医師に英語は必要か? 医者であれば、英語を話せて当たり前じゃない

IMG_0047_rs
治験を紹介されるまでに知っておきたい、メリット・デメリットの考え方

Medical Warriorsの代表である長谷山貴博。治験に

e98e5089cd6e99f5f2528c6b61d167fa195cb8af
難病患者による、難病患者のための「Dr.NEAR」クラウドファンディング開始

難病患者さんがどんなことに困っているか知っていますか? 前に、人

寿司??
「米1粒の寿司握れ」これが医師採用試験!?医学生の反応や病院側の求める人材とは?

こんにちは。医学生の大塚勇輝です。 先週、Yahooニュースのト

www_aisei_co_jp_Portals_0_images_pages_user_efforts_magazine_HGM17_pdf
全ページが中吊り広告!?『ヘルス・グラフィックマガジン』の作製者に聞く、熱のあるフリーマガジンの作り方

「なんだ・・・このクオリティーの高さは!」このフリーマガジンを見たほと

→もっと見る

PAGE TOP ↑